moonlight 改稿版(前編)
二人の間に微妙な空気が漂う。
「ご、ごめん」
とりあえず、リアクション芸人並の表現をしてしまったことに、後頭部に手を当てて謝ってみる。
「い、いや、気にして、ない、から……」
女子学生はドン引きしたような、驚いたような、わけがわからない表情でネオを見つめた。
そしてまた沈黙が。
ここから、どういう流れにすればいいんだ? このまま立ち去ったほうがいいのだろうか? いや、このままでいたら、彼女の頭に『うざい女子』というイメージが纏(まと)わりつくのでは?
頭の中で思考がぐるぐると渦巻く。
よし! ここは強引に!
ネオは覚悟を決め、左手に持った絵を右手で指を差しながら、
「い、いやぁ〜、ホントにすごいよこれ、ほんとに! 生きているみたいでさ! わたし、こんな風に絵が描けないから羨ましくて! それから、え〜っと、え〜っと……」
ネオは脳内で必死に言葉を絞り出す。
「あ、そうそう! リアルにいるみたいで! 大自然に生きている彼女が、風を感じながら、友達? か何か、う〜ん、人の温かさっていうのかなぁ? それを感じているみたいな? なんか、わたしがやっているものと似たような感覚っていうか、そんなイメージが沸いてきて……あ〜もうっ、そうじゃない! えーと、えーと……」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ