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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(前編)

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 先輩の無惨な姿を一年生部員、ドラム担当の野上健斗(のがみ けんと)が慌てて近寄る。
「だ、大丈夫……っスか?」
「うん……なんとか」
 ネオは親指を立てて、少なくとも死人ではないことをアピールした。
 健斗に手を貸してもらい、ゆっくりと立ち上がる。中学時代は坂を登るのもへっちゃらだったけど、ブランクがあるか。体力の衰えにちょっぴり寂しさを感じた。
「ごめんねー、遅れてしまって」
 ネオは改めて新入部員――健斗と、彼の隣にいる無表情を保つもう一人の――背が高く、顔が整ったイケメン、ベース担当の伊藤巧(いとう たくみ)に向かって手を合わせる。その姿に巧は黙ったまま彼女を見つめ、それに対し、健斗は、ハァ、とため息をついて、
「まったくスよ、そのおかげでみっちぃ先輩が」
「みっちぃがどうかした……って、まさか!」
「ね―――お―――」
「ひゃああああっ!?」
 今すぐにでも呪いをかけるような声音に、ネオは驚いたように思いっきり裏声を発した。背中から悪寒がぞくぞくと走る。目の前にいる健斗の顔はこわばり、冷や汗がでている。親友があのモードになる瞬間をおそらく見たのだろう、とネオは思った。