moonlight 改稿版(前編)
「要領(ようりょう)がいいんだから。じゃあ、鍵、お願いね!」
「入る前にちゃんと正せよー」
「わかってるぅー」
みちるに手を振り、ネオは校舎の奥まで進み、階段を軽快に駆け上がった。
あっという間に3階にたどり着き、女子トイレで服装を整える。膝より上に裾をあげたスカートは、膝のあたりに調整し、私服のようにしているカッターシャツは、スカートの中に入れる。これがこの学校での本来の着こなし方だ。しかし、ほとんどの女子生徒はほとんどがネオみたいな着こなしなので、なかなか守ってくれない(男子も同じ)。そのための、服装検査ではあるのだが。
「よし!」
洗面台にある鏡でチェックし、ネオはトイレの隣にある再検査会場――視聴覚(しちょうかく)教室へと入った。
「……はぁ」
二階の職員校舎と学生校舎をつなぐ廊下で、ネオは意気消沈していた。ライブのように爆音でセミたちが鳴くが、それすら耳に入ってこない。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ