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和尚さんの法話 「因果応報」

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「何でも聞きなさい。過去のことですか、現在のことですか、未来のことですか。」
と、阿羅漢になっていますので、どんなことを聞かれても応えることが出来るわけです。

「過去と未来のお話は置いておいて、現在のお話をして下さい」
というので、蓮華色女は、私は仏門に入る前は良い家庭に生まれて、良い家庭の夫婦生活を営んでいました。
ところが、両親が死んで、一人子供が居って、そして二人目の子供がお腹に宿ったのです。
今度は自分の里で生みましょうということになって、主人と自分と歩き始めた子供と連れて自分の故郷へ旅をするのです。
ところが遠いので、途中で野宿をするわけです。
そして長い旅をしたので、夜中に産気付いてきて、そこで子供を産むんです。
すると、その血の匂いを嗅いで蛇が、大きな大蛇が出てくるんです。
蛇は、蓮華色女のところへ来る前に、主人が寝てる木の下を通るんです。その主人が蛇に飲まれてしまうんです。
仕方が無いので、その生まれた子供を抱いて、小さい子供の手を引いて故郷へ旅を続けるわけです。
途中の大きな川がありまして、その川をとてもじゃないが、子供を抱いて一人の子供の手を引いて、浅瀬は判ってるんですが、自分は産後と旅の疲れで弱ってるので、子供を二人も連れて渡れません。
それで、その小さい子供を岸辺へ待たせておいて、お母さんは、この生まれた子供を抱いて先に渡って子供を置いてきて、そしてまた貴方を迎えに来るから待っていなさいと納得させて、川の浅瀬を探って向こうへ渡って岸辺へ子供を置いて戻るわけです。

そして小さい子供を迎えに渡ってくるんですが、その子供は一人で待っているので淋しくて淋しくて早くお母さんが迎えに来ないかと待ってるわけです。
そしてお母さんの姿が見えると嬉しくて、おかあさーんと、じっとしてたらいいのに川の中へ入ってくるんです。
お母さんは、来たらあかん、そこで待ってなさいと言うのに、淋しいのでお母さんを慕って川の中へ入ってきたんです。
子供は浅い深いも判らんので、川に流されてしまうんです。
それを見ていたお母さんは、助けることが出来ないので、やむを得ず川辺へ置いた子供のところへ引き返すと、その生まれたばかりの子供が狼に食われてるんです。
それをみた母親は、そこで気絶をしてしまうんです。
それでふっと、気がついたら男の人が立っておって、その人は、これから自分が帰っていく郷の近所のおじさんだったんです。
「おじさん、何処へお行きになるんですか」
「えらいことになってしまって、おまえの家は火事で燃えてしまって、お父さんもお母さんも死んでしまったんだよ。それを知らせに、おまえのところへ行く途中だった」
「その途中で、おまえを見つけたんだ」ということだったんです。
それでその、おじさんがいい人だったんで、連れて帰って自分の家へ置いてあげるんです。
そして、まだ若いので結婚の世話をしてくれたんです。
ところが結婚したその主人は、とんでもない人でして、お酒ばかり呑むぐうたらな人だったんです。
お酒を飲むと人格が変わってしまう人だったんです。
現在でもテレビでよく見ますね、妻や子供をいじめる夫。そういう人だったんですね。

それでも、恩になったおじさんがお世話をしてくれた人だと思って、辛抱をしていたわけです。
それで、月日がたて身ごもりまして、子供が生まれるというときに、主人が居ったら、また何をするかわからないので、主人が外出しているときに産婆さんにお願いをして来てもらったのです。

主人が帰ってきたら、また何をするかわからんので、家の中へ入れないように、戸に突っ張りをして入れないようにして、産婆さんと二人だけでお産をしました。
そこへ主人が帰ってきて、何をしてるんだ、誰か居るんだろうと、大声でどなっています。
戸を開けないものだから、よけいに主人が暴れだして、戸を蹴破って入ってきたのです。
主人が帰ってきてるのに戸を閉めて何をしているのだ。
お産をしていると言っても聞かないのです。
そして生んだ子供を見て、それは俺の子供じゃないだろう、というようなことで、その子供をお前が食えと言うのです。
食わねば、お前を殺すぞ。と
子供を食わねば自分が殺されるので、主人の恐ろしさに食う真似をして子供を殺してしまうんです。
そういう主人でしたので、ここに居たらとてもじゃないが人間らしい生活が出来ないと思って、主人が外出している或る夜に家出をしてしまうんです。
そして他国へ行って、疲れたので、ちょうど土が盛り上がってるところがあったので、そこにもたれるようにして寝ていました。
そこは墓地でして、昔のことで土饅頭で土を盛り上げてたところに寝ていたんですね。
その墓は最近作られた墓で、お嫁さんが死んで作られた墓でして、たまたまそこへ主人がお参りに来るんですね。
ところがそこに綺麗な女性が寝ているものだから、起こして、どうしたのかと聞くんですね。
実はこうでと、話をしますと。 
そうか、それではお前は自由な身なんだなと。
それなら家へ来なさいということになったんです。
どうせその主人も奥さんが亡くなって生活に困るわけですからね。
そして、嫁さんともなく、召使ともなくというような生活を送るわけです。

或る日のことに、日本でも昔はありましたが、インドでも山賊があったんですね。
その山賊が群れを為して、その家へやってきて家を荒らすんですね。
そして主人が殺されてしまったのです。
それでその女性が綺麗な人だったので、山賊の頭領が自分の根城へ連れて帰って、自分の嫁さんにしてしまうんです。
それで、まあ仕方が無いので因縁に任せて生活をしているわけです。

そしてその山賊は時々里へ来ては荒らして帰り、また里へ行っては、荒らしては帰りしてるわけですね。
ところが或る大きな屋敷を襲ったときにですが、大きな屋敷で用心棒を大勢雇っていたのです。
家が大きいと、人も大勢雇っていますからね。
そうすると、大勢と戦ったんですが、多勢に無勢で弓で射殺されてしまったんです。
一旦砦へ帰って埋葬するんですが、その当時インドでは主人が死んだら嫁さんも一緒に土へ埋める習慣があったんですね。
日本でも昔あったんと違いますか、それがあまりにも残酷だというので人の形の人形を埋めるようになったんですよね。
インドでもそういうのがあったんですね。
それで主人が死んだら嫁さんも埋めないといかんということで一緒に埋められてしまうのです。
それで、もうこれが最後かと思うのですね。
前世で自分は何をしてきたのか判らないけれど、よほど悪いことをしてきたのだろうと、そう思って諦めたのです。
そしたら夜になったら野犬が来て墓を荒らすんですね、獲物を求めてね。
それで埋められていた土が緩んだんですね。 
それで隙を見て、土の中から出てきて逃げて助かるのです。
然しもう自分は、この世には生きていくということの何の望みも無いし、楽しみも無い、もうこの世には何の望みも無い。
死んでもいいんだけれども、然しながらお釈迦様は、どんな哀れな者も救うて下さるという。
自分のような人間でも救うてくれるだろうか。