永遠の春休み
その時、さっきのおじさんが人ごみの中からニヤリと笑われた気がした。なぜなら実際に見えたからだ。だが、人がおじさんとかぶった時、消えてしまった。よく映画であるワンシーンのように。
「なんだったんだろ。あのおじさん」
私はポロっとつぶやく。と、竜樹が急に走り出した。
「あれ?竜樹。竜樹!ねぇ兄貴!!待って!走るのはやいって!待ってったら!」
だが竜樹は私の言うことを聞かず、置いていってしまった。するとあのおじさんが不意に目の前に現れた。しかもニヤけている。
私は多分ここで殺されると思い、目をつぶった。そして彼は私の肩をつかむ。何をすると思えば次の瞬間、私を親のように抱く。
すると後ろにお父さんとお母さんがいた。しかも竜樹までいる。
でもお母さんやお父さんはいつより違う気がした、なんていうか、雰囲気が違うというか、いつもは、まぁ優しいけど、今のお母さんやお父さんは優しすぎる?みたいな感じだ。
でも竜樹は顔が悲しそうに見える。だが、お父さんはにこやかに笑っている。お母さんも同じように笑っている。その時竜樹が彼を突き飛ばし、私の手を掴んで走り出した。