永遠の春休み
「あ…あ?」
「ん…ん?」
私は目の前に居る竜樹を目にして固まっている。いや、正確にはなぜ竜樹がここに居るか理解できなくて、頭がフル回転してオーバーヒートしている状態。多分竜樹も私と同じ状況だと思う。ずっと固まっている。
黙りこけて約5分、ようやく私の中の脳内が整理がつき、話しかける。
「あのさ、なんであんたがここに居るの?さっきまで家にいたじゃない」
「いや、俺は美羽が出た後、俺は家を出たんだぞ?」
私たちはまた首をかしげる。なぜか。なぜ竜樹は家の外、しかも私より早く駅前に居るか、自転車で来たとしても少なくとも私よりは遅いはず、私は考えていても仕方ないので竜樹になぜ私より早いか聞いてみた。
「なんであんたは私より早く駅に居るの?さっきまで家にいたはずじゃない」
「いやいや、美羽こそパルコに行ったはずじゃなかったのかよ。もしそうじゃなかったら遅れてんぞ?」
まさかと思い、時計を見てみると約束の時間より1時間過ぎていた。
「はぁ!?なんで!?さっき家出たばっかなのに!」
私は確認のつもりで携帯の時計を見ると、たしかに12時だった。しかも着信履歴があるのに携帯がバスの中で鳴った覚えがない。
私はもしかしてと思い、ポケットの中に入ってる飴を取り出そうとした。なかった。いくらポケットの中を探してもない。別のポケットの中も探してみたがない。
「何やってんの美羽?」
「いや…なんでもない、ところでなんで竜樹は今ここに居るのかしら?」
「まぁ、親父が帰ってこいって言ってたから…美羽は聞いてないの?携帯ないの?」
「なわけないでしょ、でも多分なんらかのせいで電波が届かなかったから電話は来てないわ」
竜樹はそうかよと言い、一人でスタスタ歩いて行った。私は後を追うように小走りでついていく。