── フォト音(on)小説 & ポエム ── 集
半年前、光司の妻、愛華は家を出て行った。そして一ヶ月前に離婚が成立した。実のところ、仲睦まじく愛華と暮らすつもりだった。それにもかかわらず、こんな人生の終盤が待っていたとは……。
あの夜、スポーツ特番を観ていた。そんな時愛華が涙ながらに訴えてきた。私、やっぱり……大輝さんともう一度やり直したいの、と。
なぜ、還暦も超えた歳になって、離婚という最悪なことになってしまったのだろうか? しかも略奪者は現役時代の同僚の大輝だという。
光司は今もってその原因がわからない。だが、あの出来事で──妻には、殺意があったのでは? と疑い始めてから、それは当然の成り行きかのように離婚へと突き進んでしまった。
妻に裏切られたことは辛い。だが長年連れ添ってくれた女への感謝もあり、そこまで別れることに拘るなら、夫婦の呪縛から解き放ってやろうと愛華の要望を受け入れた。
作品名:── フォト音(on)小説 & ポエム ── 集 作家名:鮎風 遊