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本音のホンネ

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Episode.4自己分析って楽しい


「就職するときに大切なのってそこに入る事じゃなくて入ってからこの先続けていけるかどうかだからね。例えばアンタがここに書いてる公務員だっていろいろあるし、市役所で働くつもりならなぜそこに入りたいか、そこに入ってどう働きたいのか10年後の姿もイメージしておかなければ前の職場の二の舞になるからね」

「そうだよな・・職安で求人サイトを見るけどここ入ってやっていけるのか?とか思っちゃって先に進めていない。今俺が重要視しているのは土日(できれば祝)休み、後は勤務時間が8:00~17:00で後は安定してるってとこかな・・・?」

「業種や職種は?」


「それだよなー、これって言うのはないんだけれどやっぱり長年やっていくとなれば好きな事の方が良いよな。まあ俺の好きなものっていえば、漫画、アニメなんだけどそれってクリエイティブなものになるよな。正直面白そうだけど専門学校通ってたわけではないから自信ないし売る方で考えたら身近なのって本屋とかになるのかな?でも就職サイトみてもそういうとこは載ってなかったような・・・」

「つまりあんたが就きたい仕事って土日祝休みの8:00~17:00勤務の本屋って事でいいんじゃない?給料の事気にしなかったら個人経営だったらあるかもね」

「んー・・・給料にはそこまでこだわってなかったけど低すぎたり、全く昇給なしとか昇給ありでも低すぎたら嫌かもな・・」


「そんな待遇の良いところあるの?」


「いや・・わからん」



「・・・あんたねぇ・・やる気ある?探すだけでしょ今の段階は。就職サイトや求人票は見たの?」

キアラは眉をしかめて右指をテーブルにトントントンと音を立て苛立ち露にしながら話す。


「まあ見たんだがあんまりそれっぽいのはあったけど見つからなかった。いやっちゃんともう一度探すよ!うん。あ、そーいえばこの前俺パーソナリティチェックってのをやったんだ」


「パーソナリティチェック?」


「そう、いわゆる適正検査ってやつ」

ああ、あれね。とキアラは人差し指を立て察したようにコクコクとうなづく。


「で、それやったせいで余計訳わからなくなって就活に差し支えてるんじゃないでしょうね?」



「うーん・・・いやー確かに少しあるかもしれないけれどその検査で俺は芸術的要素が一番高かったんだよ。で、低かったのが現実的と慣習的だ」

徹はそのときに使った資料をバッグから取り出しテーブルに広げた。
その資料は六角形が書かれていて6つの角にR(現実的)、I(研究的)、A(芸術的)、S(社会的)、E(企業的)、C(慣習的)が書かれていた。

「これはジョン・ホランド氏って言う心理学者が作ったホランド理論っていうもので適職診断で使われているらしい。頭文字をとってRIASEC(リアセック)とも言うんだけど、俺の診断は先程言った通り、Aが一番、続いてS,I、Eで最後がC、Rだ」


「最後がC,Rの二つになっているのは、確かこういう適正検査は点数形式だったわよね。ちょっと見せてよ」

徹はキアラに資料を渡す。キアラは2枚目をめくると適正チェックがあり下の結果欄にそれぞれの点数が書かれていた。

R2 I5 A9 S6 E4 C2

「へー最高点数が10点なのね。あんた芸術タイプなんだ。現実思考かと思ったら全然なのね・・。まあ、現実思考ならニートなんてしてないもんね」

ニヤニヤと少し嬉しそうな顔をするキアラ。徹は『人の不幸は密の味』と言うがこいつは自分の事をまるで他人事ように見ているのが少しだけ苛立ちを感じ不機嫌な顔を見せた。
作品名:本音のホンネ 作家名:長谷川徹