本音のホンネ
Episode.3キアラ
彼女からの電話があってから3分後。チリンチリンとドアについた鈴が鳴る。
「いらっしゃいませ」
店員の挨拶とともに店の出入口を振り向くと彼女がいた。彼女はこっちを少し睨みながら近づいてきて
「まったく・・・こう何度も呼ばないでよね。私もいろいろ忙しいんだから・・」
俺の真正面に座るや否やツーンと俺と顔を合わせずに窓に目を向けながら愚痴をこぼす。
「いろいろってなんだよ。どうせリルと話してるだけだろ」
「リルと話すだけじゃないわ。あんたのせいでこっちにもうっとおしい奴が来てるのよ。
そいつ消したりするの大変なんだからね」
そっぽを向いていた顔をキッと向け、普段俺に思っている不満をぶちまける。
そこに店員が彼女の席に「失礼します」の一言と一緒に水とメニュー置いた。
「ご注文が決まりましたらまたお呼びください」
そう言って店員は下がったが、キアラは軽く会釈するだけメニューも見ず、こちらにジト目で睨んでいるだけだった。
「はいはい、それはご苦労な事で。で、面倒だけどそのうっとおしい奴が出ないためにも
今日も手伝ってもらうからよろしくキ・ア・ラ」
わざとらしく俺が彼女の名前も呼んだのも相まって尚も不満な顔を露にする彼女はチッと舌打ちしながらまた窓に顔を向け頬杖をつく。
「で、今日の悩みはなんなのよ・・どーせ面倒な事なんでしょう」
「ああ、まあ俺の人生のことについて相談したい。大きく分けると就職、結婚・・・あれこれくらいか?」
「もっとちゃんと考えてから話しなさいよ。まあいいわ、さっさと終わらせましょう。まず就職のことね」
「就職か・・・改めて考えると面倒だな。俺はどうしたいのか・・。悪いがキアラ独り言も交えて話すぞ。えーっとだな・・実は今はまだ面接はやってないし書類選考もやってなくてな・・求人応募は見てるんだが前に進まん。なぜだ・・?」
「嫌なんでしょう。それしかないわ、あんたは就職に抵抗もってるの。今の職の無い状態に少し焦りつつもいざ就職したことを考えると時間に縛られるし、前みたいに大変なとこだったらどうしようとビビってるのよ。慎重になるのは良いけど怖がっているのは良くないわよね。まあいいわ。あんたが少しでも前に進むために今あんたが凄くハマっている整理をやってみようじゃない」
愚痴を言いながらも協力してくれる彼女に感謝を抱きながら
「そうだな。是非手伝ってくれ」
俺は感謝の気持ちを表すように両手を合わせた。まあその後「何その仰々しいの・・。キモイ」と言われたが・・。