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刻印

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 おかげ様というか、もうこうして授業中も集中できない状態なのだ。
 授業は所詮はおまけに過ぎないのだからいいけど。
 塾のおまけである。
 学校の授業なんてものは、もうどこまでいっても教科書をなぞるだけの作業なのだ。
 要不要を区別せずに、学校教育の理想に沿って無駄なこと行っている。
 本質を見失っている。
 高校生が勉強するのは、大学に入るためであって、その勉強内容は本質ではない。その大学に入ること自体が、就職のためのものなのだが。
 高校の勉強なんてものは予備の予備、準備のための準備に過ぎない。準備とは本番のためのものであって、本番のためでない準備なんてものはナンセンスなのだ。
 だとすれば、受験に特化した塾の授業が高校の授業よりも優れていることは言うまでもないだろう。
 実感として、高校の授業に集中などいらない気がする。
 九段寺もそのへんは同じ意見なのだろうか。授業中でも普段通りの表情だけど。
 そのへんの不細工な顔の女子なんてのは、もう授業中は、驚くほど真剣な顔つきをしていたりする。学校でも塾でも全力投球で志望校を目指しているわけだ。
 どうせ学歴と、せいぜい性格以外はなんの取り柄もない女なのだ。唯一の取り柄を維持するために本気を出すのは当たり前だろう。
 可愛いわけでもない高学歴の女なんてモテないよ。可愛くもないのに低学歴じゃ、もうどうしようもないけどね。
 ないよりましな学歴、というわけだ。
 顔がだめなら働きでなんとかすればいい。女性の社会進出が流行っているわけだし。
 少子化がこのまま順調に進むなら、いずれば男は女に頭を下げるしかない。
 頼みます、働いてください、と。
 足りない労働力は、外国人で賄うか、女で賄うよりないのだから。
 私は全く就職する気なんてない。
 男が働けばいいのだ。
 労働は神が与えた罰なのだ。なにが嬉しくて働くのかという話だ。
 労働が楽しいなんて、理解不能だ。マゾヒスト以外の何物でもない。いじめられていろとしか思わない。
 九段寺は、どうだろう。
 働くだろうか。
作品名:刻印 作家名:咲会伶俐