あいちゃん
『さくらさくら』の前奏が始まりました。ひとりずつ舞台に出ていきます。あいちゃんは三番目に出て行きました。立ち位置は真ん中です。
緑色の地に桜の花模様のふりそでをきたあいちゃんは、左手を袖に添え、右手に桜の花の造花のついた枝をもっておどります。
いっしょに踊っているお友だちは、髪が長いのでおだんごに結っていて、差したかんざしがきらきら揺れています。
あいちゃんはおかっぱなのでそのままかんざしだけを差しています。けれどあいちゃんの踊りにあわせて、髪の毛はかんざしと一緒にさらさらと揺れています。
一度もみんなと練習したことがないけれど、あいちゃんはちゃんとおどることができました。
終わってから、観客は拍手かっさいです。
いっしょに踊ったみんなも「あいちゃん、ありがとう」といってくれました。
そして、「あいちゃんの髪の毛がさらさらゆれてきれいだった」といってくれたのです。
あいちゃんは、もうおねえちゃんのおさげをうらやましいとは思いませんでした。