プライド
辰次「まぁいいや、別におっさんが困ろうが俺らには関係のない話だ」
猪狩「そういう事だからおっさん覚悟はいいな?」
辰次「運が無かったと諦めな」
中森「勘弁してくれよ・・・」
辰次が襲いかかるが返り討ちにあう
辰次「ってー・・・やりやがったな」
猪狩「大丈夫か、辰」
中森「頼むよ、見逃してくれないか?」
辰次「このまま引き下がれるかよ、行くぞ猪狩」
猪狩「おう」
中森「面倒は嫌いなんだよ」
猪狩・辰次 中森へ襲いかかるがまたしても返り討ちに
辰次「うぅ・・・」
中森「もういいかな?」
猪狩「ふざけんなよ・・・」
中森「ふざけてなんかないさ」
辰次「竜治さんが黙ってねぇぞ」
中森「竜治って誰だ?まぁいい、私は帰る。お前らも早く家に帰れよ、親が心配するぞ?」
中森ハケ
暗転
シーン8
明転
学校帰り 伸也と憂理が話している
憂理「怪我は大丈夫?」
伸也「大丈夫だって言っているだろ」
憂理「その割には歩き方少しぎこちないけど?」
伸也「うるせぇな」
憂理「うるせぇな、じゃないわよ」
伸也「はいはい」
憂理「全く・・・お父さんとは仲直りしたの?」
伸也「仲直りってなんだよ」
憂理「あんたねぇ・・・もう少しお父さんを大事にしなさいよ」
辰次・猪狩・竜治登場
伸也「!」
憂理「どうしたの?」
伸也「あいつらだ、昨日俺をボコボコにしたのは・・・」
憂理「あの人達なの?嫌だ、この辺じゃ有名な不良じゃない、それに真ん中のあの人って確かヤクザの・・・」
伸也「少し様子がおかしいぞ、離れて様子を見てみよう」
憂理「馬鹿、早く違う道から帰りましょうよ」
伸也「帰りたければ一人で帰ればいいだろ」
憂理「何?もしかして昨日の仕返ししようとか考えているの?」
伸也「何か問題でも?」
憂理「問題しかないでしょ、だいたいあんた昨日負けてんじゃん」
伸也「そんなの関係ないさ。とりあえずあいつらこっちに向かってくるから隠れるぞ」
憂理「はぁ!?なんで?」
伸也「あいつらが何話しているか気になるからだ、ほら早く」
憂理「あぁ、もう!」
伸也・憂理 身を隠す
辰次「竜治さん、お願いしますよ。俺らの仇を取って下さいよ」
竜治「お前らの自業自得だろ」
猪狩「そんな事言わねえでさ、頼みますよ」
竜治「あのな、言ったよな?俺は堅気の人間には手は出さないって。それでも俺にお前らのケツを拭かそうってんのか?」
猪狩「け、けど・・・」
竜治「けどもクソもあるか、どあほう。・・・だけど大事な弟分がやられて黙っているのも癪にさわるなぁ」
辰次「そ、それじゃ・・・」
竜治「ったく、今回だけだぞ」
猪狩「ありがとうございます」
竜治「礼は後だ。で、どんな奴なんだよ、そいつは」
辰次「見た目は普通のおっさんで、以前脅したらすぐに金を渡したんで、昨日もう一度脅そうと思ったら・・・」
竜治「そんなん言われてもわからねえよ。もっと外見に特徴はないのか?」
辰次「そんな事言われても・・・なぁ?」
猪狩「えぇ、そいつ見た目は本当にそこら辺にいるようなおっさんで、特徴がないのが特徴というか」
竜治「もういい、そいつに会った場所に行こう。また会えるだろ」
辰次「そうですね、案内します」
竜治「当たり前だろ、馬鹿が」
竜治・辰次・猪狩ハケ
伸也「なぁ、今の聞いたか?」
憂理「えぇ・・・あいつらが伸也のお父さんを襲ったのかしら」
伸也「そうじゃなくて、いや間違ってはないけど・・・あいつらまた親父を襲ったみたいだ」
憂理「?これから襲うんでしょ?」
伸也「そうだけど、あいつら恐らく親父を襲おうとして返り討ちにあったんだ」
憂理「ふーん、あんたのお父さん強いんじゃん」
伸也「あいつが強いなわけあるか、偶然に決まっているだろ」
憂理「ボクシングでインターハイまでいった実力は衰えてないんだよ、きっと」
伸也「お前どこでその話を・・・」
憂理「お父さんからに決まってるじゃん」
伸也「とにかく、あいつらは親父からまた金を奪おうとして返り討ちにあって、悔しいから竜治って奴に泣きついたんだ」
憂理「それって結構不味いんじゃない?」
伸也「竜治がヤクザの息子だから?」
憂理「しかも、組長のね」
伸也「組長の息子だからって何か変わるのかよ」
憂理「ヘタに手を出したら組が動き出すんじゃない?」
伸也「そんな事俺には関係ない」
憂理「関係ない訳ないじゃない。あんたのお父さんだけじゃなくて、あんたもあんたのお母さんも狙われるよ、絶対」
伸也「そんなこと分からないだろ、それにあいつらがこれから親父を襲うとは限らない」
憂理「さっきと言っている事が違うじゃん」
伸也「あいつらが親父を襲ったかなんて俺らの憶測でしかないだろ、もしかしたら違う人の事を言っていたのかもしれない」
憂理「なら尚更放っておけないじゃん」
伸也「なんでだよ」
憂理「あんたはこれから見ず知らずの家族に危険が迫っているのかもしれないのに黙って何もしないでいる訳?」
伸也「家族がいるとは限らないだろ」
憂理「居なくてもよ、誰かが不幸な目に合うかもしれないのに放っておくわけ?誰かが傷つくかもしれないのに見て見ぬ振りするわけ?」
伸也「別に俺はヒーローなんかじゃない」
憂理「そんなの関係ないわよ、男としてどうなのよ。あんたが動けば助かるかもしれないのよ?こういう時に動かないで何が男よ」
伸也「男性差別だ」
憂理「そんなの関係ないわよ、女々しいわね。目の前にあんたが動けば助けられる人がいるのよ?そういう人を助けないで愛する女や家族を守る事が出来ると思ってるの?」
伸也「お前響さんに似てきたな」
憂理「当たり前じゃない、親子なんだから。でどうするの?助けに行くの?行かないの?」
伸也「助けに、ってなんでだよ、親父が狙われるなら放っておけばいいだろ。本当に強いなら俺が手を出す必要はない」
憂理「・・・」
伸也「わかったよ、行けばいいんだろ」
憂理「わかったならよろしい」
伸也「けど、もし親父の事を狙っていたら俺は関わらないからな」
憂理「はいはい、いいからあいつらの後を追いましょう」
伸也、憂理ハケ
暗転
シーン9
明転
竜治・辰次・猪狩板つき
竜治「ここでいいんだな?」
辰次「はい、竜治さん」
竜治「あ、猪狩ちょっと飲み物買ってこい」
猪狩「何がいいですか?」
竜治「なんでもいいよ、ほらお前らの分も出してやる」
辰次「ありがとうございます!」
猪狩「じゃあ行ってきます」
猪狩ハケ
伸也・憂理登場 タイミングは猪狩とちょうどすれ違う
憂理「どうやらあそこで待ち伏せしているみたいね」
伸也「なんだよ、俺の家の方向じゃん。やっぱり親父狙いだ。俺は降りるぞ」
憂理「そんなの、わからないでしょ?ここを通る人はあんたの家族以外にもいるのよ?」
伸也「ご近所さんがオヤジ狩りにあったなんて話聞かないからほぼ100%親父狙いだよ」
憂理「秘密にしているだけかもしれないじゃない」
伸也「こんな狭い町で隠し事なんて無理だって」
憂理「仮にあんたのお父さんだとしても自分に降りかかるかもしれない火の子は自分で振り払わないでどうするのよ」