小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

プライド

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

伸也「うるせえ、さわんじゃねぇ!」
憂理「なによ、いきなり。人がせっかく心配してあげてんのに」
伸也「てか、なんでお前がいるんだよ」
憂理「あんたが店に財布忘れていったから届けてあげようと思ったの、そしたらあんたが・・・」
伸也「不良にボコボコにされた醜態を晒していたって訳か?」
憂理「そんな事誰も言ってないでしょ!なによ、嫌味ばかり言って、もういい、あんたなんか」

   憂理財布を伸也に投げつけ去る   伸也ゆっくり立ち上がり退場
   暗転

シーン4
   明転

   喫茶店  憂理帰宅 中には響のみ
響 「伸也には会えたか?」
憂理「知らないわよ、あんな奴」
響 「どうした、また喧嘩か?」
憂理「そんなんじゃないわよ」
響 「お前がそういうときは大抵伸也と喧嘩した時じゃないか。どうした、何があった?」
憂理「お父さんに話しても話がややこしくなるだけだからいい」
響 「そうか、勝手にしろ」
憂理「・・・なによ、聞いてこないの?」
響 「私に話すと話がややこしくなるからいいんじゃなかったのか?」
憂理「それでも気にするのが、親心じゃないの?」
響 「そんなもの私が持ち合わせていると思ったか?」
憂理「そう言うと思った・・・ねぇお父さん」
響 「なんだ?」
憂理「男ってさ、みんな喧嘩とかそういうのに負けるのがそんなに悔しいの?」
響 「当たり前さ、お前は悔しくはないのか?」
憂理「いや、そりゃあ悔しいだろうけどさ、伸也とかお父さんを見ているとなんか根っこのところが違う気がしたからさ」
響 「それだけ分かっているなら十分だ」
憂理「なによ、それ。ちゃんと質問に答えてよ」
響 「答えたじゃないか、負けるのは悔しいって」
憂理「もういい、そういえばお母さんは?」
響 「夕飯の支度をしているよ、今日のメニューはパスタだそうだ」
憂理「そうなんだ。じゃあ宿題やってくる」
響 「わからない事あったら何時でも聞けよ」
憂理「考えとく」

   憂理退場
   暗転

シーン5
   明転
   伸也宅  中森新聞を読んでいる  伸也帰宅
中森「おかえり」
伸也「・・・」
中森「返事くらいしたらどうだ・・・って、どうした?その怪我」
伸也「別に・・・」
中森「別にじゃないだろ・・・ほら見せてみろ」
伸也「うるせえんだよ!親父は黙ってろ!」

   伸也ハケ

中森「おい・・・はぁ、何にイライラしているんだ?あいつは」

   SE携帯着信

中森「?あいつから電話なんて珍しいな・・・」

   中森電話に出てから徐々に暗転

シーン6
   明転
   喫茶店  響と幸子、中森が話している
幸子「こんな時間にうちの馬鹿が呼び出してごめんね」
響 「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは」
中森「別にこいつとは長い付き合いですし、構わないですよ。で、なんのようだ?」
響 「お前の大事な息子についてだ」
中森「伸也がどうかしたか?」
響 「お前がオヤジ狩りにあったのにへらへらしているのが気に入らないみたいだぞ」
中森「・・・何故だ?」
幸子「中森君って意外と鈍感なのね」
響 「こいつは昔からこうなんだよ」
中森「なんですか、幸子さんまで」
響 「お前本当にわからないのか?」
中森「ああ、わからない」
響 「情けない奴だな、そんなんだからお前は駄目なんだよ」
中森「相変わらず口の減らない奴だな」
響 「まぁ、どうせお前に言ったってどうせわからないだろうな」
中森「そうやって勿体ぶるのはお前の悪い癖だ」
響 「少しは自分で考えたらどうだ?」
中森「少しはって何も答えてないじゃないか」
響 「だから人に聞く前に自分で考えたらどうだ?」
幸子「いい加減にしなさいよ、話がちっとも進んでないじゃない」
響 「いい加減にしろと言われてもこれは中森自身が考えなきゃいけない事だ」
中森「お前さっきから言う事に脈絡がないぞ」
響 「脈絡がないと話してはいけないのか?」
中森「はぁ・・・幸子さん、こいつ酔っているのか?」
幸子「酔っているならこんなもんじゃ済まないと思うけど」

   憂理登場

憂理「お母さん、アレどこに・・・あ、こんばんは」
中森「こんばんは」
憂理「おじさん、怪我は大丈夫なの?」
中森「大丈夫だよ」
響 「お前が心配するほど、こいつは弱くないぞ」
中森「お前が言うな」
憂理「・・・あの、伸也は大丈夫でしたか?」
中森「怪我していたから手当しようと思ったが、すぐ自分の部屋に行ってしまったよ」
響 「怪我?なんだ、憂理お前伸也に手をあげたのか?」
幸子「そんな事を憂理がする訳ないでしょ、なに言っているのよ」
響 「冗談に決まっているだろうが」
憂理「お父さんは黙ってて。伸也が不良と喧嘩したみたいなの」
響 「勝ったのか?」
幸子「そんな事どうでもいいでしょ」
響 「どうでもいいことではないだろ」
中森「いいからお前は少し黙っていろ」
響 「お前までそんな事を言うのか・・・高校時代からの親友の私にそんな口を・・・」
中森「黙れよ」
響 「はい」
中森「で、伸也は不良と喧嘩をしていたのかい?」
憂理「いや、私が伸也に会った時には喧嘩は終わっていて伸也だけだったのでよく分からないんですけど、伸也が自嘲気味に言っていたので恐らくそうじゃないかと・・・」
中森「そうか・・・ありがとう、伸也の事を心配してくれて」
憂理「心配だなんて・・・そんな」
幸子「なに、照れているのよ」
憂理「べ、別にそんなのじゃないわよ」
幸子「顔赤いけど?」
憂理「ちょっとお母さん!」
中森「あまり長居するのもあれなので私はそろそろ帰ります」
響 「おい、私の話がまだ終わってないぞ」
中森「俺自身が考えないといけないんだろ?なら家で考えてくるよ」

   中森ハケ

響 「私はまだお前に言いたいことが・・・って、なんだそんなに私の話すのは嫌か?」
憂理「そりゃそうでしょ」

   暗転

シーン7

   明転  中森家路

中森「不良に絡まれたならそう言えばいいのに伸也の奴・・・。まぁどうせ響に何か吹き込まれたんだろうな。あいつの店にしょっちゅう出入りしているようだし」

   辰次・猪狩登場

辰次「にしてもあのガキ弱かったな」
猪狩「ああ口先だけのザコだったな」
辰次「どうせなら金も巻き上げればよかったな・・・ん、あれは」
猪狩「どうした?」
辰次「ほら昨日、少しボコったらすぐに金出した情けねぇおっさんだよ」
猪狩「おお、どうするまたやるか?」
辰次「たりめーだろ、あんな金づる放っておけるかよ」
猪狩「だよな」

   猪狩・辰次、中森へ近づく

辰次「よお、おっさん」
中森「ん?君は誰だ、伸也の友達か?」
猪狩「なんだよ、連れないなぁ昨日会ったばかりじゃねぇか」
中森「あぁ昨日の・・・金ならないぞ」
辰次「んだと」
中森「すまないな、今日は財布を持ってないんだ」
猪狩「ならよ、俺らのサンドバックになってくれよ」
中森「それは困る」
辰次「困る?金を渡すのは困らないのにサンドバックになるのは困るのかよ」
猪狩「よほど金には困ってないみたいだなぁ」
中森「そういう訳ではないが・・・」
作品名:プライド 作家名:ハヤコー