Mission!! 第1話~第7話
「おっと・・・」ホウィはベンと一緒に笑った。もしサラが護衛する予定のアンドレ国王があんなに美男子だと聞いていたら、彼女はこの仕事は引き受けなかっただろう。どうやら、ベンとホウィは裏でサラをおびき寄せるために組んでいたらしい。二人は笑って肩をすくめた。
「ところで、教官。今夜の夕食会会場が急きょ変更になったということは…。」
カーテンがガラッと開き、ドレスを着たサラが出てきた。その姿にホウィが口笛を鳴らした。
「だいたいの目星は付いている。王室から変更されたホテルラッジーナまでのルート上で、やつらが襲うとなると・・・場所的に見て好都合なのは中央映画館の前あたり・・・」ベンが更衣室のドアを開けた。
「そこへアンドレ王を連れて行くつもり?」
「まさか・・・君が夕食会について王を守ってくれ。俺たちはやつらに一芝居うつさ。」
「マシューとジョルジュも元傭兵よ。しかもあなたは右足を負傷している。だから私がそっちに・・・」
「まだまだ、老いぼれているわけじゃないんだ。任せておけ。」
ベンが開けたドアから、3人の大きなカバンを持った女性が楽しそうに入ってくると、そこにあった椅子にサラを無理やり座らせた。
「な・・なんだ?」サラは泡食ったように驚いた。
「プリンセス、ではわたくしが髪を・・・」
「お化粧はわたくしが担当いたします」
「この汚い服は洗濯しておきますね!!」
「プリンセス?・・汚い服?ちょ・・ちょっと・・・」3人の女性たちは、問答無用で彼女にまとわりつき始めた。
「ハハハ!サラ、知ってるか?サラという名前はヘブライ語でプリンセスなんだそうだ。」
『そんな事知ったこっちゃない・・・。それにこの私の名前も本当だかどうだか・・。』
ホウィはさっそく女性たちの近づくと、かっこつけながらしゃべりだした。
「君、かわいいねー、名前は?俺、これから宮殿に一緒に住むことになったホウィ・ラマルク。仲良くしてね。フランス男は情熱的だよ!」彼女の肩を抱き、顔を近づけるたその瞬間、ベンが彼の背広を引っ張りあげた。
「行くぞ!」
「あらららら!!」そのまま部屋から出ようとしたとき、サラがベンを呼び止めた。
「気をつけて」
「お前もな。宮殿で会おう」
作品名:Mission!! 第1話~第7話 作家名:Rachel