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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

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 情けないことに、どうもまた酔ってしまったらしい。
「ごめん、剛史。私、早々と酔っちゃったみたい。先に寝ませて貰って良いかしら」
 我ながら舌がうまく回っていないのを自覚しつつ訊ねると、剛史が惚れ惚れするような笑みを浮かべた。
「うん、俺は別に構わないよ」
「じゃあ、お先に」
 美奈恵は立ち上がった―はずだった。身体がよろけてフラリと傾ぐ。危ないと思ったその瞬間、彼女の身体は逞しい腕に抱き止められていた。
「本当にお前って、危なかしくて見てられねえや」
 ふわりと身体が持ち上げられ、抱き上げられた。
「仕方のないヤツだな」
 剛史は美奈恵を大きなベッドにそっと降ろす。
「ありがと、お休み―」
 言いかけた美奈恵は息を呑んだ。剛史が去ろうとせずに、美奈恵の纏ったローブの前紐を解こうとしたからだ。
「何をするの?」
 美奈恵は愕きに眼を見開いた。剛史が切なげなまなざしをくれる。
「美奈、頼む。一度で良いから、抱かせてくれ」
 美奈恵は唇を噛みしめた。返事がないのをYesと取ったのか、剛史が再び紐に手を伸ばす。美奈恵は彼の大きな手のひらをそっと上から押さえた。
「止めましょう。こんなことをしても無意味だわ」
「無意味だって?」
 剛史が上目遣いに美奈恵を見た。
「だって、私たちは友達で幼なじみで―」
「その科白はもう聞き飽きた」
 剛史は切り捨てるように言った。
「ね、剛史、たった一度の過ちで、これまでの私たちの関係を台無しにしてしまうなんて止めようよ」
 剛史が美奈恵をひたと見た。燃え盛る焔を孕んでいるようなまなざし。一昨日、教会で貪るようなキスをした時、美奈恵に向けたものと同じだ。
 怖いと思った。これまで剛史と二人きりでいて彼を怖いと思ったことなんてないのに。しかし、次の瞬間、美奈恵は剛史に対して感じた自分の本能的な勘がけして外れてはいなかったことを知る。
「美奈にとって過ちでも、俺にとってはそうじゃないんだ。俺はもう待つのも我慢するのもいやだ。お前は残酷だよ。ずっとお前だけ見つめてきた俺によりにもよって契約結婚なんか持ちかけてきた」
 剛史は呟き、紐を押さえていた美奈恵の手をいともあっさりとはね除けた。するすると紐が解かれ、前を一杯にひろげられる。
「止めてよ。何するつもり」
「男と女がベッドでやることは決まってるだろ」
「剛史、私、いやだから。こんなことしたくないよ。止めてよ」
 美奈恵は驚愕し、暴れた。信じられない、剛史がこんなことをするなんて。
 でも、剛史は?い眼をして美奈恵を見つめ返すだけだ。何だか怖い。いつもの剛史じゃないみたい。眼は氷のように冷めているのに、その奥に熱に浮かされた危うい烈しさを宿している。
「悪いが、今夜はお前の頼みは聞いてやれない。ずっとこの日を待ってたんだ。頼むから大人しくして俺を受け容れてくれ」
 ローブの下は当然ながら、何も身につけていない。紐を解かれ前をくつろげられただけで、白い膚が彼の前に晒された。
「綺麗だ、美奈、凄く綺麗だ」
 剛史が恍惚とした表情で呟いた。
 鋭さと熱を帯びた視線が射貫くように見つめている。恐怖と衝撃で美奈恵の息が荒くなった。動悸が速くなり、ふくよかな胸が烈しく上下する。まるで男を誘うように揺れる双つの膨らみを剛史がそっと下から両手で掬い上げるように持ち上げた。
「何するの! 触らないでってば」
 美奈恵は叫んだ。涙が溢れた。剛史だけは普通の男とは違うと思っていた。契約結婚の話を持ちかけたのも、仮の夫役を頼んだのも、剛史なら、こういうことはしないはずだ、心配しなくて良いという目算があったのは確かだ。
「美奈恵は俺を嫌いか? 男として、どう思う?」
 真摯な眼で問われ、美奈恵は返事に窮した。
「判らないよ。剛史と私はずっと友達だと思ってたから」
「だから、その言葉は聞き飽きたって言ってるんだよ。友達、友達、友達! 俺と美奈はどこまでいっても友達で幼なじみで、それ以上にはなれないっていうのか」
「そんなこと言われても、困る」
「なっ、美奈恵、考えてみてくれ。俺たち、もっと違う関係になれないかな」
「違う―関係?」
 美奈恵はおどおどと剛史を見上げた。怖い、怖い、今日の剛史は剛史じゃない。寒くもないのに、身体が震える。
「剛史、とにかく手を放して。こんな格好じゃ何も話せないでしょ」
 美奈恵は懸命に訴えた。
「ね、せめて服だけでも着させて」
 やはり、こんなバスローブ一枚きりなのがいけなかったのだ。ちゃんと服を着て理性的に話し合えば、きっと剛史も判ってくれるはず。
「駄目だ。美奈は今夜はこのままでいろ」
 きっぱりと言われ、美奈恵は唖然として彼を見た。
「何でそんなことを剛史が決めるの? 私は剛史の持ち物じゃない。私は自分のしたいようにするんだから」
 美奈恵は渾身の力で剛史の身体を押しやり、上半身を起こした。
「とにかく服を着てくるから、待ってて」
 ベッドを降りようとした時、いきなり背後から襲いかかられ、美奈恵は悲鳴を上げた。きつく抱きすくめられて身動きもできない。
「やだっ、何するの! いやっ」
 堪えていた涙がとうとう溢れ出した。剛史は嫌がる美奈恵を力で抑え込み、そのままベッドに突き飛ばした。
「あっ」
 美奈恵は悲痛な声を上げて、ベッドに転がった。
「剛史、酷いよ。何でこんな乱暴なことをするの」
「美奈、どんなに抵抗しても今夜は無駄だ。ずっとお前が欲しいと思ってきたんだ。できればこれ以上手荒なことはしたくない。頼むから大人しく素直に抱かれろ」
 再び起き上がろうとした美奈恵の身体を剛史は力任せに押し戻した。次いで身体に頼りなく纏いついていただけのローブを乱暴に剥ぎ取られる。
「剛ちゃん、止めてっ、止めてってば」
 剛史の熱を帯びた視線が美奈恵の白い身体の上を容赦なく這い回った。
 激しく動悸を打ち揺れる乳房が頂く薄紅色の突起、鎖骨から臍の窪み、淡い茂みの奥に秘められた狭間、すんなりとした両脚。
 止めて、許して。美奈恵は怖ろしさに身体を震わせながら懇願した。
「許してくれ」
 剛史は彼をしきりに誘惑するふっくらとした乳房を食い入るように見つめ、その可憐な乳首を口に含んだ。?いや?、掠れたような弱々しい声が聞こえ、それはやがてすすり泣きに変わった。
 剛史に身体中を蹂躙されながら、美奈恵は信じられない気持ちで一杯だった。自分は確かに剛史を好きだった。いや、多分、今でもその気持ちは変わらない。
 でも、こんなのは嫌だ。美奈恵の気持ちなんてお構いなしに押し倒して強引に身体を開かされるのなんて、レイプと同じではないか。
 途中で美奈恵は再び逃れようと試みた。泣きながら身を捩り続ける美奈恵を剛史は荒々しく組み敷こうとする。
「剛史なんて大嫌い、こんなことする剛史なんて、私の知ってる剛ちゃんじゃないよ」
 泣きじゃくる美奈恵が叫んで抵抗すればするほど、剛史は容赦なくなった。
「痛いっ、痛い―」
 身体中を弄られても少しも濡れてこず、むしろ恐怖に竦んだ身体はかえって男を受け容れられなくなった。苛立った剛史はそれ以上の前戯を施そうとはせず、残酷にも殆ど濡れていない美奈恵の下半身に滾り切った熱棒を突き立てた。
「剛史、痛い、痛いよ」