ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.
※共通ルート※
俺はすぐさま袋を開き、星型のクッキーを眺める。
※すぐにCGが切り替わる
■宮島 宮島総合文化高校1F 3年1組の教室 星型のクッキー 夏 朝
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
キラキラと輝いているように見えて、匂いに酔いしれて食欲が注がれる。
どうやったらこんな風にできるのか、訊いてみたいものだ。
あぁ、幸せだ。
※すぐにCGが切り替わる
■宮島 宮島総合文化高校1F 3年1組の教室 夏 朝
※光大、食べながら(立ち絵は表示しない)
【光大】「あむあむ……ああ、やっぱりカエのクッキーはサイコーだぜ」
※花楓の立ち絵を表示。苦笑
【花楓】「そ、それはうれしいんだけど……」
【光大】「?」
いきなり血相を変えてどうしたんだ?
※花楓、苦笑
【花楓】「う、うしろ……」
【光大】「うしろ?」
すると、肩をトントンと後ろから叩かれる。
【光大】「だれだよ、今、クッキー食べてるから……」
※立ち絵を表示しない
【???】「先生に向かって、いい度胸してるな。菅原……」
【光大】「!」
この迫力のある野太い声は……!
俺はゆっくりと振り返ってみる。
※花楓の立ち絵を表示しない
※丸峰先生の立ち絵を表示。怒る
【光大】「ま、まるみね……せんせい……」
【丸峰先生】「……」
そこにいたのは俺たちのクラスの担任である丸峰だった。
体育教師だからか、いつも上下の青ジャージを着ているという、少しコワモテな顔と禿げた頭にはお似合いの服装だ。
さすが、地獄から来たという都市伝説ならぬ宮島伝説がある鬼の大男!
と、悠長に言っていられない……!
※丸峰先生、怒る
【丸峰先生】「……」
【光大】「ははは……」
前言撤回、今日は運がついていない。
※フェードアウト
■宮島 宮島総合文化高校 講堂 夏 朝
※フェードイン
【光大】「はぁ……」
終業式で、全校生徒が講堂にぞろぞろと集まる中、俺は意気消沈していた。
※立ち絵を表示しない
【クラスメイト(男)B】「光大、ご愁傷だな」
後ろから、からかうような口調で話しかけられる
【光大】「ほっとけ! ……ああ、疲れが重くのしかかるぜ……」
※立ち絵を表示しない
【クラスメイト(男)B】「ははは」
……笑いごとじゃねぇって。
なんで、こんなに意気消沈しないといけないんだ、俺――。
※外側から中心に向かってフェードアウト
■回想 宮島 宮島総合文化高校1F 廊下 朝
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※中心から外側に向かってフェードイン
朝のホームルーム。
丸峰に言われて廊下に立たされるという、小学生のような辱めを受けていたときだ。
※立ち絵を表示しない
【???】「コウ」
【光大】「?」
隣のクラスの方から俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
俺のことを「コウ」と呼ぶヤツはあいつしかいない。
と言うことは――。
※横ワイプ(さっと暗くなる)
■回想 宮島 宮島総合文化高校1F 廊下で手を振る小太りな男子学生 廊下 朝
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※横ワイプ(さっと表示)
【光大】「よっしー」
できる限り小さな声で彼の名を呼ぶ。
昨日、彼をゲームの世界へと誘った、メガネをかけ、ちょっと小太りな、幼馴染みで親友のオタク男子――清水葦貴(しみず よしたか)が立っている。
※横ワイプ(さっと暗くなる)
■回想 宮島 宮島総合文化高校1F 廊下 朝
※横ワイプ(さっと表示)
【光大】「おまえ、どうして立っているんだ?」
※葦貴の立ち絵を表示。苦笑
【葦貴】「寝坊して、遅刻しちゃった。ふああ〜あ」
【光大】「おまえなあ……」
よく呑気に大あくびができるもんだと思う。まあ、そんなのんびりなところが、よっしーらしいけど。
※葦貴、きょとん
【葦貴】「コウはどうしてなの?」
【光大】「センコーの雷を浴びて、立たされてるんだよ」
※葦貴、苦笑
【葦貴】「ははは。どうせ、朝からカエちゃんのクッキーでも食べて怒られたんでしょ?」
『カエちゃん』とは、花楓のことだ。
【光大】「そうだよ。くそっ、昼休み以外も食べさせろっつーの! あれが俺の幸せだってのに!」
※足で叩きつける音
※葦貴、焦る
【葦貴】「コ、コウ……!」
いかん、思わず地団太を踏んでしまった。
【光大】「す、すまん。だけど……」
※葦貴、首を傾げる
【光大】「あのセンコー、融通が気かないったらありゃしないんだから。だいたいなあ、あの野郎はハゲのくせにして……」
※教室のドアが開く音
※葦貴、驚愕する
【葦貴】「!」
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■回想 宮島 宮島総合文化高校1F 廊下 怒りの丸峰先生 朝
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※フェードイン(さっと表示)
【丸峰先生】「菅原ぁ、ハゲってのは俺の事か……」
爆発寸前の丸峰。二次元の世界ではないのに後ろから赤いオーラがでているような。
や、やべえ……。
【光大】「せ、せんせい……ち、ちがいますよ。先生のことを言っているわけでは……」
【丸峰先生】「話はすべて聞こえてたんだよ。今更、言い訳は許さんぞ」
【光大】「ひいいぃぃぃっ!」
※すぐにCGが切り替わる
■回想 宮島 宮島総合文化高校1F 廊下 朝
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※画面が左右に揺れる
【丸峰先生】「ばっかも―――――――ん!!!」
【光大】「ぎゃ―――――っ!!」
※外側から中心に向かってフェードアウト
■宮島 宮島総合文化高校 講堂 夏 朝
※中心から外側に向かってフェードイン
――床屋の漫画で読んだ、つながり眉毛の警察がいつも部長に怒られている古い漫画のみたいな怒号を受けたのだった。
おかげで疲れがどっとたまっているというわけだ。
そこまで怒らなくてもいいってのに。いや、そもそもその引き金をひいてしまった俺がいけないんだろうけども。
ああ、前で教頭が喋っているけど、なにも耳に入らない。
もう、何も――。
※立ち絵は表示しない
【教頭】「校長先生のお話」
【光大】「!」
※校長が壇上に向かって歩く音
校長が壇上へと上がっていく。
【光大】(校長……)
ほんと、こいつだけは嫌いだ。
俺は、全校生徒を見渡す校長に鋭い目で見つめる。
※立ち絵は表示しない
【校長】「ええ、皆さん。『夢』を見つけていますか?」
またおめでたい話をするのかよ。
作品名:ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer. 作家名:永山あゆむ