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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.

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エピローグ:熱い夏のはじまり



■章タイトルの表示

   ※(第三章の続きから)フェードイン

   ※章タイトルの表示

   ※フェードアウト

■宮島 医療センター 外観 夏 昼

   ※フェードイン

   ――三日後。
   夏休みが始まった、澄み渡る海のように穏やかで暑い空の下。
   海沿いにある医療センターの出入口で、

【光大】「はぁ〜っ」

   俺はため息をついた。
   ほんと、ひどい目にあった。あれでも病人か? あいつら……。

【光大】「いってぇ〜」

   右頬にはまだ、痛みと熱がこもっている。
   これは系譜なのだろうか。これから始まる夏休みの――地獄のような日々が続くと言う。
   そう思うと、この紅葉の色になった痕がそれを証明しているようにも見えてきた。
   すべては数時間前に起こった出来事である――。

   ※フェードアウト

■画面が暗い

   ※扉を開ける音

   ※フェードイン(次のCGに切り替わる)

■宮島 医療センター3F 301号室 夏 昼

【光大】「よう。二人とも」

   ※病衣を着ている花楓の立ち絵を表示。嬉しい

【花楓】「コウちゃん!」

   ※病衣を着ている乙愛の立ち絵を表示。微笑む

【乙愛】「コータ!」

   俺はカエと乙愛の様子を見に、母さんが働いている医療センターへとやってきた。
   政府による未来化が進行しているからか、最近、十分な医療機器が整い、広島市内にいかなくても治療をうけることができるようになった。
   母さんから話を聞いたけど、二人は奇跡的に重症ではなかったため、大事に至らずに済んだが、二週間ほどの治療は必要とのことで入院することとなった。

【光大】「病人のくせに、元気そうだな」

   ※病衣を着ている乙愛、微笑む

【乙愛】「ああ、いますぐここから出たくてしょうがない。が……」

   ※病衣を着ている花楓、注意する

【花楓】「だめですよ。ちゃんと直さないと」

   ※病衣を着ている乙愛、苦笑

【乙愛】「……と、忠告を彼女から受けるのでな」
【光大】「それが一番懸命だよ。というか、ちゃんと守れよ」

   ※病衣を着ている花楓、呆れる

【花楓】「そうだよ。もう、びっくりしたよ」

   ※病衣を着ている花楓、呆れる

【花楓】「朝食時間に他の患者さんと一緒に食べるんだけど、この人、誰よりも早く食べて病室に戻ったの。そしたらいなくなるなんて……」
【光大】「おいおい」

   俺も呆れた表情で、乙愛を見つめる。

   ※病衣を着ている花楓、呆れる

【花楓】「看護師さんたちもびっくりしていたわ。でも、まだ足が完全に治っていなかったから、すぐに捕まえられたけど」

   ※病衣を着ている乙愛、呆れる

【乙愛】「うう……リストバンドをつけておけば、逃げられるっていうのに……」

   俺だけに聞こえるようにぼそっと呟く。

【光大】「持ってこないからな」

   乙愛の服や所持品は、俺の家に置いている。

   ※病衣を着ている花楓、呆れる

【花楓】「ほんと、子供みたいで呆れちゃうわ」

   まったくだ。
   俺もカエの意見と同じだ。

   ※病衣を着ている乙愛、不満

【乙愛】「こ、子供みたいって。それが助けた人に敬服する態度か?」
【光大】「助けた? と、いういうことは、カエにコートを被せたのは」

   ※病衣を着ている乙愛、不満

【乙愛】「ああ、私だ。取り残されていたから、窓ガラスを突き破って助けた」

   ※病衣を着ている花楓、不満

【花楓】「……確かにそれは感謝していますよ。窓ガラスを壊して来たときはびっくりしたけど」

   ※病衣を着ている花楓、注意

【花楓】「でも、今はそれとは関係ないわ!」

   ※病衣を着ている乙愛、怒る

【乙愛】「な、なんだと……」

   ※ブレーキの音

【光大】「はい、スト――――――ップ!!」

   このまま言い合いをしていたらややこしくなるので、俺はすかさず二人のベッドの間に入る。

【光大】「子供じゃないんだから、少しは大人しくしろよ。隣にもいるんだからよ」

   ※病衣を着ている乙愛、不満

【乙愛】「うっ……」

   ※病衣を着ている花楓、呆れる

【花楓】「ご、ごめん」
【光大】「ふぅ〜」

   ※病衣を着ている乙愛と花楓の立ち絵を表示しない

   まったく。軽傷だからって元気すぎなんだから。
   この病室に他の患者さんがいなくてよかった。
   大恥をかくことになる。
   でもまあ、元気なのはいいことだ。

【光大】「でも、まあ、とりあえず元気そうでよかったよ」

   ※病衣を着ている乙愛の立ち絵を表示。微笑む

【乙愛】「そういうおまえもだ、光大。私たちが救急車に運ばれたあと、警察と何かなかったのか?」
【光大】「ああ、あのあとね。確かに警察には怒られたけど――」

   ※外側から中心に向かってフェードアウト

■回想 宮島 杉の浦地区 団地入口 夏 夜 燃え上っている

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※中心から外側に向かってフェードイン

   ※立ち絵を表示しない

【警察(男)B】「助かったからよかったものの、君が死んだらどう責任を取れば……少しは家族のことまで考えたらどうなんだ!? 君が死んで悲しむ人もたくさんいるんだぞ!」

   二人が救急車で運ばれた後、俺は一悶着した警察に怒られていた。
   何もやらなかった警察に苛ついていたが、今度やったらただではすまないと思ったので、我慢して大人の戯言を聞いていた。
   だけど、やっぱり。

【光大】(人を助けるのが仕事なのに、何考えてんだよ)

   と、文句を言いたくてしょうがなかった。
   その時だった。

   ※横ワイプ(さっと暗くなる)

■宮島 杉の浦地区 団地入口 光大をかばう団地の住人達 夏 夜 燃え上っている

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ(さっと表示)

【花澄】「いいかげんにしなさいよ!」

   カエの母親である花澄おばさんをはじめ、多くの団地の住人達が割って入る。

【花澄】「人の命を守るのが警察の仕事じゃないの! それをあなたは放棄したのよ! 分かってる!? あんたたち警察は、この子のように諦めずに足掻くべきじゃないの!? だから、メディアで恥をかくのよ!」

【団地の住人(男)A】「そうだそうだ!」
【団地の住人(女)A】「こいつはよくやった!」
【団地の住人(男)B】「おまえは腰抜けだ!!」
【警察(男)B】「……っ!」

   団地の住民たちによる警察への罵声が飛び交う。
   住民のおかげで俺の心もスカッとする。

【警察(男)B】「か、勝手にしろ!」

   追い詰められた警察は醜い暴言を吐いて、その場から立ち去った。

   ※フェードアウト

■宮島 医療センター3F 301号室 夏 昼

   ※フェードイン

【光大】「……ってことで、何もされずに終わったってわけ」