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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.

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   ※研究者(男)Aの立ち絵を表示。焦る

【研究者(男)A】「す、すいません! おい、誰か手伝え!」

   ※立ち絵を表示しない

【研究者(女)A】「は、はいっ!」

   ※研究者(男)Aの立ち絵を表示しない

   後の者はメガネをかけた研究者の指示で、他の者たちは仕事へと戻る。
   二人は両手白い手袋をはめる。
   防護服はジャームを遮断する素材では作ってはいるが、念のためだ。
   頭から外し、胴体はパーツを分解していく。

   ※すぐにCGが切り替わる

■未来の宮島 研究地区 秘密の研究施設 汗でぬれた額に腕をおく乙愛と丸峰 明るい

   ※ここのシーンはCGで表現するため、立ち絵は表示しない

【乙愛】「ふう。灼熱地獄から解放されたな」
【丸峰】「ええ。おかげで自慢のスーツが汗まみれですぞ」

   丸峰はぜえぜえと荒い息を立てる。
   確かに、白いカッターシャツ、その上に着ている背広、青いネクタイ、そして、黒いベルトをつけたコンのスラックスすべてが湿っている。
   トレードマークのオールバックの白髪も、へなへなとくたびれている。
   かくいう私も、タイトスカートまでかかったダークブラウンの髪がぺちゃんこになっており、カッターシャツも黒ネクタイすべてが湿っている。気持ち悪い。
   ほんと、今すぐにでもシャワーを浴びたい。
   なので、報告をさっさと済ませよう。

   ※フェードアウト(さっと暗くなる)

■未来の宮島 研究地区 秘密の研究施設 明るい

   ※フェードイン(さっと表示)

【乙愛】「ああ、そういえば実験は成功したぞ。何も問題はなかったぞ。……ああ、あの装置は防護服のポケットに入れているよ」

   私は机に置いている、胴体部分の赤い防護服に指を差す。

   ※研究者(男)Aの立ち絵を表示。喜ぶ

【研究者(男)A】「そうですか! みんな、実験は成功したぞ!!」

   ※研究者たちの立ち絵は表示しない

【研究者たち】「おお――っ!」

   研究者たちは喜びのあまり、拍手喝采。近くにいる者とハイタッチを交わす。

   ※研究者(男)A、真剣な表情

【研究者(男)A】「ということは、お嬢様……」

   ※乙愛、真剣な表情

【乙愛】「ああ。これで準備は整った。至急、すべての装置の最終調整を行ってくれ。それが終われば出発だ。頼むぞ」

   ※研究者(男)A、驚き

【研究者(男)A】「は、はいぃっ! みんな、最終調整だ。お嬢様の出発準備に、全力を注ぐんだ!」
【研究者たち】「おおーっ!!」

   ※研究者(男)Aの立ち絵を表示しない

   研究者たちはそそくさと移動し、準備へと取り掛かった。

   ※丸峰の立ち絵を表示。微笑む

【丸峰】「みなさん、元気ですなあ」
【乙愛】「当然だ。これでまた一つ、この島の未来が前進するのだからな」

   いきいきと働く、研究者たちの姿を見て、頼もしく思えた。
   こんな絶望的な状況でも、諦めずにこの島の平和を取り戻そうと考えている。
   その姿に勇気づけられ、前へと進める。

【乙愛】「丸峰。今日の夜、父さんと話しをする。立ち会ってくれないか?」

   ※丸峰、真剣

【丸峰】「……かしこまりました。決心は、揺るがないのですね」
【乙愛】「ああ。誰かがやらないといけないんだ」

   ※歩く音

   研究者たちの喧噪の中、私たちは奥の部屋へと進んでいった。

   ※フェードアウト

■未来の宮島 研究地区 秘密の研究施設 所長室前 夜 暗い

   ※ここのシーンはCGで表現するため、立ち絵は表示しない
   ※フェードイン

   午後21時。
   研究室の明かりが消えている中、私は、丸峰と共に一番奥にある部屋――所長室へと訊ねた。

   ※インターホンの音

   ピンポーン!
   扉のすぐそばにあるインターホンを鳴らす。

【???】「誰だ?」

   インターホンから低い声が聞こえてくる。

【乙愛】「父さん、私」
【???】「乙愛か。どうした?」
【乙愛】「話をしにきたの。中へ入れてくれない?」
【???】「……分かった。入りなさい」

   ※部屋が自動で開く音。

   ガ―――――ッ!
   扉が開いていく。
   私は緊張した面持ちで、丸峰と共にへと入っていった。

   ※横ワイプ

■未来の宮島 研究地区 秘密の研究施設 所長室 夜 明るい

   ※フェードイン

   この部屋に入るのも久しぶりだ。
   相変わらず、本や実験装置がたくさんある。
   鼻にツンとくる実験臭が、この生活を物語る。

   ※横ワイプ

■未来の宮島 研究地区 秘密の研究施設 所長室 座っている所長の背中 明るい

   ※このシーンはCGで表現するので、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ

【???】「ああ。……うん。……うむ。やはり、そうなってしまったか」
【???】「分かった。そっちも頼むぞ」

   ヘッドホンをつけてパソコン越しに話す父さんの背中。
   幼い頃から何度も見てきた光景。
   昔は、『自分のことが嫌いなんだ』、と嫌悪していたが、今では分かる。
   未来のために頑張ろうしていることが。
   だから、私も――。

   ※立ち上がる音

【???】「すまないな。急に広島の本部から連絡がきたもんだから」

   ※フェードアウト

■未来の宮島 研究地区 秘密の研究施設 所長室 明るい

   ※フェードイン

【乙愛】「いいよ。そんなの。この島を救うため、でしょ」

   ※???(智達)の立ち絵を表示。苦笑い

【???】「ははは。理解ある娘で助かるよ」
【乙愛】「でしょ?」

   ※???(智達)、微笑む

【???】「ああ」

   このメガネをかけた、いかにも学者っぽい雰囲気をした人が私の父親――佐伯智達(さえき ともたつ)だ。
   広島市にある『未来技術研究所:広島本部』を拠点とした、ここ――宮島支部の室長を務めている。

【乙愛】「で、どんな話をしていたの?」

   ※智達、通常

【智達】「今やっている、ジャームの成分を調べる機械の開発について、な」

   父さんは本部と連携して、この島の環境を救う手だてを考えている。
   島に取り残されても、こうして宮島のために全力をつくす仲間がいるのは頼もしいことだ。
   しかし父さんは、ため息をつく。

【乙愛】「何か、問題があったの?」

   ※智達、メガネを上げる

【智達】「ああ。ちょっと残念な問題が増えてしまったんだよ」

   ※丸峰の立ち絵を表示。首を傾げる

【丸峰】「何があったのですか?」

   父さんは一息ついて、

   ※智達、メガネを上げる

【智達】「もう、政府の人間は信用しない方がいい……というか、もう信用していないけどな」
【智達】「どうやら、我々がいるこの島を地図上からなかったことにするつもりらしい」

   ※丸峰、驚く

【丸峰】「な、なんですと!?」
【乙愛】「……!」

   ※智達、メガネを上げる