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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.

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【乙愛】「ポルターガイストは、アヤカシの一種だと言っただろ……エルクルの力を使うバスターウェポン以外の武器は、すり抜けてしまうんだ」
【光大】「マジかよ……」

   これでは、なす術がないじゃないか。
   このまま空間を戻して、こいつに好き放題させてもいけないのに。
   どうすればいいんだ。
   ……どうすれば。

【乙愛】「コータ」

   ※横ワイプ(さっと暗くなる)

■空間の狭間(インタスティス) 自分のリストバンドを渡そうとする乙愛 黒紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ(さっと明るくなる)

   乙愛はリストバンドを外す。
   その瞬間、乙愛が持っていた武器が消え、青紫色の空間は、無機質な黒紫色の空間へと変わる。
   火奄の姿も、炎が集まった蛇のように見える。
   やはりあれは、火奄を目視するための光だったのか。
   しかし、なぜこんな時に。

【乙愛】「これを持って、逃げろ」
【光大】「!」

   突然の出来事に衝撃が走る。

【乙愛】「このまま二人とも死んで行ったら、この島は滅びるだろう。そうなれば……未来も失われてしまう」
【光大】「……」
【乙愛】「私は、お前が逃げた後に、タイムシフトでゲートを閉じ、火奄を閉じ込める」
【乙愛】「お前はこれを持って、こいつらと戦う力を身につけてくれ……」
【光大】「ば、馬鹿言うな! おまえ一人を置いて逃げれねぇつうの!」
【乙愛】「しかし、バスターウェポンを持たないおまえでは戦うことができない」
【乙愛】「それにこれは、訓練をしないと……使いこなすことは、ほぼ不可能だ」
【光大】「だからって……」

   確かに、この状況から一度逃げても変わらないのだ。火奄により、宮島は滅却された島となってしまう。
   そしてそれは、未来にいる乙愛を知る者たちも、生まれずに死ぬってことも意味する。
   でも……仮に乙愛の提案で火奄の暴走を止めてたとしても……『乙愛という犠牲者』が生まれてしまう。
   それでは、意味がないじゃないか!

   ※フェードアウト

■画面が暗い

   ※画面が左右に揺れる

【光大】「だめだ!」

   俺は喉に詰まったもの絞り出すような、悲痛な叫び声を放つ。

   ※フェードイン(次のCGに切り替わる)

■空間の狭間(インタスティス) 乙愛の手を握り、自分の気持を伝える光大 黒紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

【乙愛】「コータ……」

   いきなりの怒声に、乙姫は瞠目する。

【光大】「俺は……乙愛に守られた分、守りたいんだ」
【光大】「それに、いやなんだ」
【乙愛】「いや?」

   俺は大きく頷く。

【光大】「人を犠牲にしてまで逃げるってことが。……人を自分たちの利益になるように利用する政府と、同じだから」
【乙愛】「……」
【光大】「俺は、誰も犠牲にせずに、この島を救いたい!」

   ※フェードアウト(さっと暗くなる)

■空間の狭間(インタスティス) 光大の後ろ姿 黒紫色の空間

   ※フェードイン(さっと表示)
   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

   俺は立ち上がり、振り返って足を前へ踏み出し、上空に浮かんでいる火の玉の塊――火奄を見つめる。

【乙愛】「無茶だ、コータ。やられるだけだぞ!」

   そうだ。返り討ちに合うだけ。
   なら、俺はこれに賭けるしかない。
   乙愛と同じような形をした――俺の青いリストバンドに埋め込まれた、白い球体の覚醒に。
   もし、乙愛と同じリストバンドなら、発動も可能なはずだ。
   頼む、同じものであってくれ!
   俺は、左手でそこをギュッと押さえる。
   ――じいちゃん、頼む。俺に……俺に未来(まえ)へ進む力を……!
   そう、念じた。
   すると。

   ※すぐにCGが切り替わる

■空間の狭間(インタスティス) 光大のリストバンド、光る 黒紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※光りだす音

   ピカ――――――――――ッ!!

【光大】「!」

   念が通じたのか、俺のリストバンドが白く、激しく光り出す。

【乙愛】「な、なんだ!?」

   光は凝縮され、球体の上に集まる。

   ※すぐにCGが切り替わる

■空間の狭間(インタスティス) 浮かぶ、剣の形をした白い光 黒紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※光る音

   光は剣の形へと変わる。

【光大】「これは……」

   俺は恐る恐る、それに触れる。
   その瞬間。

   ※クロスフェード

■空間の狭間(インタスティス) 黄金の剣、出現 黒紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※光がはじける音

   光は拡散し、柄、鍔、そして刃までも、すべてが金色の――黄金の剣へと変わった。

【光大】「こ、これは」

   俺は不思議な気持ちで、右手に握っている剣を見つめる。
   乙愛のリストバンドと同じように、バスターウェポンなのか?
   そして、このリストバンドは――。

   ※横ワイプ(さっと暗くなる)

■空間の狭間(インタスティス) ボロボロの全景 黒紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ(さっと表示)

【乙愛】「コータ!」

   後ろから座った状態で、乙愛が声をかける。

【乙愛】「試しに異霊空間(コンファインドスペース)、展開(アンフォールド)と言ってみろ!」
【光大】「え?」
【乙愛】「いいから、叫んでみろ!」
【光大】「わ、わかった」

   俺は言われた通りに叫んでみる。

【光大】「こ、異霊空間(コンファインドスペース)、展開(アンフォールド)……」

   ※展開される音

   バァン!!

   ※すぐにCGが切り替わる


■空間の狭間(インタスティス) 光大、異霊空間(コンファインドスペース)を展開 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

【光大】「うおっ!?」

   乙愛のように自分を中心に空間全域に青紫色の光が広がっていく。そして。

【光大】「あ、火奄が!」

   ※すぐにCGが切り替わる

■空間の狭間(インタスティス) 火奄、龍の姿へ 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

   さっきまで人魂のような、炎の塊だったものが龍の姿へと変化する。

【乙愛】「やはり……」

   このリストバンドは乙愛のと同じ。
   でも、なぜ……爺ちゃんが持っていたんだ。
   ……。
   いや、詮索はやめよう。
   そんなことよりも……これは好機だ!

   ※横ワイプ(さっと暗くなる)

■空間の狭間(インタスティス) 光大、火奄を見つめる 青紫色の空間

   ※横ワイプ(さっと表示)

【光大】「乙愛……」