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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.

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   火奄の頭上に、ものすごい火のエネルギーが集まる。
   この空間にあるタイルの欠片が上空へと舞い上がる。
   次第それは大きくなり……。

【火奄】「グウオオオオオオッ!!」

   獄炎の弾が出来上がった。その禍々しさはまさに太陽。
   こんなの対処できるわけがない。
   まさに絶体絶命。

【光大】「乙愛、逃げろ!」

   ※すぐにCGが切り替わる

■空間の狭間(インタスティス) 武器を構える乙愛 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

【乙愛】「……」

   しかし、乙愛は逃げないどころか、武器を構えている。

【光大】「あのバカ!」

   あんなのがボウガンだけでどうにかなると思っているのかよ!
   俺は急いで、無謀女のところへ駆け寄り、片手を強く握る。

   ※すぐにCGが切り替わる

■空間の狭間(インタスティス) 乙愛の手をつかむ光大 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※手を掴む音

【乙愛】「光大……」
【光大】「ここは逃げろ、乙愛!」

   張りのある声で彼女に忠告する。

【乙愛】「だめだ。逃げるわけには……未来の為に……」
【光大】「戦略的に逃走も考えろよ! あの弾の範囲から逃げさえすればいいんだから!」
【乙愛】「だけど!」
【光大】「ふざけるな!」
【乙愛】「!」

   俺の叩きつけるような鋭い怒声が、空間に響く。

【光大】「ここで無様に死んでしまったら、未来は救われないんだぞ! おまえを送り届けた人の気持ちを少しは考えろ! そして、落ち着け!」
【乙愛】「……」

   驚いたような顔をして、乙愛の抵抗の動きが止まる。
   俺はそれを見逃さなかった。

【乙愛】「あ、ちょっと!」

   俺は乙愛の手を強引に引っ張り、離れる。

   ※すぐにCGが切り替わる

■空間の狭間(インタスティス) 火奄、獄炎弾を投げる 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※画面が左右に揺れる

【火奄】「グウオオオオオオオオッ!!」

   ※投げる音

   ゴオオオオオオオオッ!!
   咆哮と同時に灼熱の獄炎弾を火奄が投げ飛ばした。
   この空間一帯を破壊するほどの大きさだ。

   ※フェードアウト(さっと暗くなる)

■空間の狭間(インタスティス) 乙愛の手をつかんで逃げる光大 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※フェードイン(さっと表示)

   ※獄炎弾が落下する音

   ゴオオオオオオオオッ!!

【光大】「うお――――――っ!!」

   ※走る音

   俺は乙愛の手を握って全力疾走。

【光大】「なあ、この空間に出口なんて存在するのか!?」
【乙愛】「ああ。私の持っているこの時計――タイムシフトを使えば可能だ。だが、それはおまえたちのいる次元に影響を与えてしまう」
【光大】「どういうことだよ!?」
【乙愛】「タイムシフトで創りだしたこの空間は、お前たちの世界に影響を受けないように断絶された別次元の空間だ」
【乙愛】「それを解除すると言うことはだな、私たちやあの龍もあの神社に戻ってきてしまうのだ」
【乙愛】「つまり、ここで対処しないと宮島は、消えてしまうぞ!」
【光大】「マジかよ……!」

   驚愕の事実に、一瞬、息が詰まる。

【光大】「なら、この空間はいつまでも続くのか?」
【乙愛】「ああ。永遠にな」
【光大】「だったら……ひたすら逃げるだけだ!!」

   ※獄炎弾が落下する音

   ゴオオオオオオオオッ!!
   徐々に音も大きくなり、炎弾の影につつまれる。

【乙愛】「光大、来るぞ!」

   やばい、着弾する!

   ※獄炎弾が落下する音

【光大】「うおおおおおおっ!!」

■空間の狭間(インタスティス) 着弾する獄炎弾 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※フェードイン(すぐに表示)
   ※獄炎弾が着弾する音

   ズド―――――――――――――ン!!

   ※二人同時にテキスト表示

【光大】「うわああああああっ!」
【乙愛】「きゃああああああっ!」

   ※フェードアウト(画面が真っ白になる)

■空間の狭間(インタスティス) 壊滅的になった全景 青紫色の空間

   ※(画面が真っ白の状態から)フェードイン

【光大】「いてててて……」

   生きてる。
   ……助かった。
   なんとか直撃を避けることはできた。
   だが、爆風で俺の体はボロボロになっていた。
   焦げた痕と全身の火傷の痛みで。
   乙愛が展開したこの空間も、悲惨なものへと変わった。
   タイルにはヒビが割れ、そこから火が立ち上っている。
   爆発する直前にあの機械を使ったのは、正解だったかもしれない。出さなかったら、大致命的な傷を負っていただろう。
   だがその代償として、バチバチと帯電し、六角形の機械は壊れてしまった。

【光大】「乙愛は……?」

   俺は辺りを見回す。

【光大】「!」

■空間の狭間(インタスティス) 仰向けに倒れている乙愛 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

【乙愛】「……」

   乙愛は仰向けになって倒れていた。

【光大】「乙愛!」

   俺は立ち上がり、彼女のもとへ。

■空間の狭間(インタスティス) 光大にそっと抱えられる乙愛 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない

【光大】「おい、しっかりしろ!」

   俺は彼女をそっと抱える。
   顔も少し黒くなっている箇所があり、服も相当ボロボロになっている。

【乙愛】「う……」

   乙愛がうっすらと目を開ける。

【光大】「乙愛!」
【乙愛】「まったく、おとめ、おとめ、と……うるさい……」

   彼女は薄く微笑み、俺の頬に触れる

【光大】「おまえが無茶するからだろ」
【乙愛】「……すまない」
【乙愛】「でも、戦わないと……くっ」

   乙愛は立ち上がるどころか、起き上がることができない。

【光大】「これ以上無茶をするなよ! 一旦、逃げて体制を整えるしか……」
【乙愛】「だめだ。それだけは……逃げるわけには」
【光大】「な、なんでだよ……!」
【乙愛】「それはな……くっ」

   痛みをこらえて乙愛はよろよろと立ち上がり、ゆっくりと前に進む。

   ※フェードアウト(さっと暗くなる)

■空間の狭間(インタスティス) 背中で語る乙愛 青紫色の空間

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※フェードイン(さっと表示)

【乙愛】「私自身が、この道を決めたからだ……私の好きなこの島の未来を、何としても守りたいのだ」
【光大】「だからって……ここまですることはないだろ!」
【乙愛】「さっきおまえは言ったな、ここに送り届けた人の気持ちを考えろ、と。それなのだ」