ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.
【光大】「……ということで、不思議に思うと?」
※乙愛、真剣
【乙愛】「そうだ」
【光大】「そうだ、と言われてもなあ……」
※乙愛の立ち絵を表示しない
俺が一番知りたいよ。本当に、未来人でもないのになんでこんなところに。
※乙愛、真剣
【乙愛】「ん? コータ。このリストバンドは?」
【光大】「ああ、これか。亡くなったじいちゃんの形見なんだけど……」
※乙愛、驚く
【乙愛】「おまえ、このリストバンド……!」
その瞬間。
※すぐにCGが切り替わる
■空間の狭間(インタスティス) 青紫色の空
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※画面が上下に揺れる
【???(火奄)】「グウォォォォォォォッ!!」
【光大】「な、なんだよ、今度は!」
青紫色の空から不気味な声が聞こえてくる。
【乙愛】「ちっ、話をしている場合ではないか」
【光大】「え?」
ちらっと乙愛を見つめて、俺も見上げる。
※風の音と同時にテキストが表示
ゴオ――――――ッ、と風が俺たちに向かって吹きつける。
【乙愛】「来るぞ!」
だんだん空から見えてくる。赤色の燃え盛る物体がどんどんこちらに――。
【光大】「!」
※すぐにCGが切り替わる
■空間の狭間(インタスティス) 火奄、急降下 青紫色の空間
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※画面が前後に揺れる(奥に行ったり戻ったりする)
【???(火奄)】「グウォォォォォォォッ!!」
【光大】「り、りりりりり、龍!?」
ゲームやファンタジーで見たことのある、巨大な紅い龍が急降下してくる!
※急降下する音と同時にテキストを表示
【光大】「うわあああっ!」
俺は右方向へと避ける。
乙愛は、逆方向へと避けた。なんで彼女は冷静でいられるのか、と不思議に思う。
龍は、地面にぶつかる直前に身を翻し、上空へと戻る。
※横ワイプ(さっと暗くなる)
■空間の狭間(インタスティス) 全景 青紫色の空間
※横ワイプ(さっと表示)
※立ち絵を表示しない
【乙愛】「無事か?」
【光大】「ああ、なんとか」
俺は乙愛のところへ駆けつける。
鋭い目つきで龍を見つめている。
しかも俺にも実体が見える。青紫の空間と言うことは――
※画面が真っ白になり、すぐにCGが切り替わる
■回想 宮島 宮島水族館跡 モンスター、出現 夏 昼 周囲が青紫色
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※数秒ウェイト
※画面が真っ白になり、すぐにCGが切り替わる
■空間の狭間(インタスティス) 全景 青紫色の空間
――こいつのリストバンドが引き出した力の影響だろう。
【光大】「あいつは超常異霊(ポルターガイスト)なのか?」
※乙愛の立ち絵を表示。睨む
【乙愛】「いや。あいつは超常異霊(ポルターガイスト)どもに取り憑かれたんだ」
【光大】「と、取り憑かれたぁ!?」
乙愛の発言に驚愕する。
ポルターガイストは、お化けみたいに取り憑く事もできるのかよ……。
※乙愛、真剣
【乙愛】「この宮島を守っていると言われる話を知っているか?」
【光大】「五聖神(ごせいしん)のことだろ?」
【光大】「俺の遠い祖先の菅原道真が天神信仰に伝わる秘術で、火、水、地、風、そしてそれらを統括する森の化身を創り、宮島を災厄から守ったっていう」
【光大】「紅安神社には火の神様が祀られているけど……単なる神話じゃないのか?」
※乙愛、真剣
【乙愛】「そうだ。五聖神は実際に創られたのだ。おまえの祖先と私の祖先――佐伯影弘(さえき かげひろ)と共にな」
【光大】「さ、佐伯影弘!?」
思わず目が丸くなる。
【光大】「影鞍といったら、島の領主兼厳島神社の神主じゃないか! ということは……」
※乙愛、真剣
【乙愛】「ああ。私は、朝廷の命でこの島の開拓、そして厳島神社を創建した佐伯家の――一族の子孫だ」
【光大】「……!」
つまり、俺と乙愛は、宮島を守ってきた偉大な子孫だというつながりがあるのか。
……信じられない。
でも、実際にここにいるんだ。それも未来から。
※乙愛、微笑む
【乙愛】「さすが菅原の子だな」
【光大】「いや、じいちゃんが持っていた、宮島の古い文献を読んだことがあるから。五聖神のことも」
※乙愛、真剣
【乙愛】「なら、ここにいる五聖神が何なのか、分かるだろう?」
【光大】「ご、五聖神!? ということは、まさか『火奄(ひえん)』……?」
※乙愛、叫ぶ
【乙愛】「その通りだ。また来るぞ!」
【光大】「うおおおう!」
※乙愛の立ち絵を表示しない
※火炎弾を飛ばす音
火炎弾が飛んでくる。俺は受け身を取りながら避ける。
しかし、信じられない。
こいつが五聖神の火の化身――火奄だなんて。
伝説では、人に害なす不浄なものを火の力で滅し、安らぎを与えた言い伝えがあるのに……これじゃあ、逆ではないか。
【光大】「こいつが暴れているのは、あの映像で見たポルターガイストとジャームだっけ? それと関係しているのか……うおっと!」
※乙愛の立ち絵を表示。真剣
【乙愛】「ああ。この土地の開拓を始めたおかげで、地表からジャームが噴出して、ポルターガイストが生まれ、紅安神社に封印されている紅の神玉(あかのしんぎょく)を汚染し、ポルターガイスト化したのだろう」
【乙愛】「赤紫色に変色しているのも、それが理由だ。……よっと!」
※乙愛の立ち絵を表示しない
※火炎弾を飛ばす音
火炎弾が次々と雨のように俺たちに向かって降ってくる。
【光大】「しかし、このままじゃあ埒があかないぞ。というか、勝算はあるのかよ!?」
※乙愛の立ち絵を表示。叫ぶ
【乙愛】「当たり前だ! 任せろ!」
その言葉が、自分自身に言い聞かせているように見えた。
※乙愛、叫ぶ
【乙愛】「バスターウェポン!」
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■空間の狭間(インタスティス) バスターウェポン、具現 青紫色の空間
※フェードイン(さっと表示)
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
乙愛は右手を突きだす。
青い球体から、丸くて青い球体の光が出て、彼女の武器――ボウガンが具現化する。
※横ワイプ(さっと暗くなる)
■空間の狭間(インタスティス) 火奄の攻撃を避ける乙姫 青紫色の空間
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
【火奄】「ガアアアアアアアッ!」
※火炎弾が飛んでくる音
両手から生み出された火炎弾二発が、乙愛に向かって飛んでくる。
【乙愛】「はあああっ!」
乙愛は垂直にジャンプして、避ける。
作品名:ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer. 作家名:永山あゆむ