ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.
確かにゲリラ豪雨とか、にわか雨が来る予兆と考えれば分かる話ではある。だけど、今日は雲が一つもない青空だ。100%ないと思うが。
※花楓、通常
【花楓】「まあ、こんなことを考えても仕方ないわ」「
※花楓、不満
【花楓】「それよりも、二人はちゃんと私の説教を受けてよね。話を逸らそうとしたの、バレバレなんだから」
※葦貴、驚く
【葦貴】「えええっ!?」
【光大】「勘弁してくれよ……」
トホホ……。
と、思ったその時。
※葦貴と花楓の立ち絵も表示されなくなる
※立ち絵を表示しない
【女子学生】「キャ――――――ッ!」
【光大・葦貴・花楓】「!」
その光景に、俺たちは驚愕した。
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■宮島 宮島総合文化高校 必死にスカートを掴む女子学生二人 夏 昼
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※フェードイン(さっと表示)
なんと、二人の彼女たちの周りにだけ、なぜか竜巻のような強い風が吹いているのだ。
女子生徒たちは、必死にスカートを掴んでいる。その狂風は、女子生徒のスカートの中を見ようとしている、ストーカーのようだ。
【光大】「ワーオ……」
【葦貴】「おお……」
俺とよっしーは絶句した。それに見とれるのは男の本能だ。いや、そうでなければ男ではない。
この先は、果たして――。
※すぐにCGが切り替わる
■宮島 宮島総合文化高校 校門までの道 夏 昼
※花楓の立ち絵を表示。怒る
※花楓の立ち絵が上下に揺れる
【花楓】「あーもう、何見てんのよ! 帰るわよ!」
【光大】「うおっ!?」
※葦貴の立ち絵を表示。驚く
【葦貴】「わぁっ!」
※花楓と葦貴の立ち絵は表示しない
花楓が無理矢理、自転車のカゴを掴んで引っ張っていく。
ちぇっ、もう、あとちょっとだったのに――。
※立ち絵を表示しない
【葦貴】「こ、コウ!」
【光大】「?」
【葦貴】「た、竜巻が……!」
【光大】「は?」
なにびびってんだよ。
ていうか、まさか俺たちが期待していた状況になっているの――。
【光大】「!」
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■宮島 移動する風を見てびっくりする光大と葦貴 夏 昼
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※フェードイン(さっと表示)
※風が追いかける音
ヒュ――――――ン!
【光大・葦貴】「えええええええええっ!?」
女子たちに舞っていた風が、小さな竜巻のようになって、こちらに向かってくる!
【花楓】「まだ見ているの!?」
【光大】「うおっと、と、と!」
何も知らない花楓はむかむかして、引っ張っている二人の自転車のカゴを急に放す。
【花楓】「もう! 二人とも、いい加減にしないと……」
【光大】「カエ、伏せろ!」
【花楓】「え?」
しかし、時すでに遅し!
【光大・葦貴】「うわぁっ!!」
風は俺たちを通り過ぎ去り、
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■宮島 宮島総合文化高校 花楓のスカートがめくりあがり、びっくりする光大と葦貴 夏 昼
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※フェードイン(さっと表示)
【花楓】「うわあぁあぁぁ!?」
無防備なカエを中心に、異常に強い風が巻き上がる!
スカートはめくりあがり……、
【光大・葦貴】「!」
【光大】(あ、水玉……)
男子が期待……いや、見てはいけないものを見てしまった。
水玉模様のアレが見えた瞬間、風の塊は消えていった。
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■宮島 宮島総合文化高校 校門までの道 夏 昼
※フェードイン(さっと表示)
※立ち絵を表示しない
【花楓】「……」
そのまま花楓は呆然と、ぺったり地面に足をついた。
あまりにも衝撃的な物を見てしまい……その、なんて声をかけたらいいのやら。
【光大】「あ、あのー、か、かえで、さん……?」
恐る恐る声をかけた。
すると、
※燃え上る炎の音
ゴオオ――――――ッ!!
【光大】「ひいぃっ!」
※フェードアウト(さっと暗くなる)
■宮島 宮島総合文化高校 花楓の大噴火 夏 昼
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※フェードイン(さっと表示)
カエの背中から、炎のようなものがゴゴゴゴゴ……、と湧き上がってくるのが見える。
え? どうやって出してんだよ。二次元でもないのに、見えてしまう。
ふんわりとした髪の毛が、針のように逆立つ。
【花楓】「こう、ちゃあん……」
丸峰みたく、鬼のような赤目で俺を凝視する。
え? なんで、俺なの?
心の中では言っちゃたけど!
【光大】「か、カエ、落ち着け! これは、これはなぁ……!」
不可抗力だ! と言おうとした瞬間、
【花楓】「知らないっ! こうちゃんの――」
【光大】「ま、待ってくれー!」
怒り狂った花楓が、勢いよく右手を振りかぶる!
【花楓】「バカ――――――ッ!!」
※フェードアウト
■画面が暗い
※画面が左右に揺れる
※ビンタでぶたれる音
バチ――――――ン!!
※フェードイン(次のCGに切り替わる)
■宮島 澄み渡る夏の青空 夏 昼
※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
※画面が上下に揺れる
ドッシャ――――――ン!!
※立ち絵を表示しない
【葦貴】「こ、コウ!」
【花楓】「しらないっ!」
ああ、やべえ……星が見える。
※フェードアウト
■宮島 海沿いの街道 夏 昼
※フェードイン
【光大】「……ったく。不可抗力だっつーの」
※葦貴の立ち絵を表示。苦笑
【葦貴】「ははは、今日はとことん運が悪いね」
【光大】「いてっ……触んなよ。まだ痛いんだから」
※葦貴の立ち絵を表示しない
あー、痛ぇ。
ものの見事に、花楓の手の痕が、紅葉色でくっきり残っているに違いない。
あのあと、花楓はぷんすかと頭に煙を吹きだしながら帰っていった。
そして残った俺とよっしーは、二人で自転車を押しながら、まだ古良き跡が残っている土で作られた街道を歩いて帰っている。
こうやって、古良き跡が残っているのは、風情があっていいなと俺は思う。世の中、新しいものばかり作っていく時代ではあるが、こういうのをきっちりと守るべきだ。
【光大】「しかし、あれは一体なんだったんだ?」
※葦貴の立ち絵を表示。きょとん
【葦貴】「あの風のこと?」
【光大】「ああ。あんな風の動き方、あるか?」
※画面が一瞬白くなり、次のCGに画面が切り替わる
作品名:ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer. 作家名:永山あゆむ