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パシフィスタ
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夏の陽射し

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変なクラス・・・




翌日・・・


『行ってきます!!』

俺と実澪は一緒に家を出た。


実澪と付き合うことになった。小さい時から一緒にいてくれた実澪と・・・


俺は今まで生きてきた中で一番の充実感を感じていた。


学校に行くまではいつものように他愛の無い話で笑いあった。

学校の土間につくと、別れを惜しむように実澪が寂しそうな顔を浮かべた。


「大丈夫!昼休みに会いに行く!!絶対だ!!」

「約束だよ?私、待ってるからね!!」

約束を交わして別れた。


教室に着くと、自分の席に向かった。

まだ二日目、ということもあってか、どことなく緊張感にあふれる中、
その空気を破るひとりの男が現れた。

「おっはよーーー!!!!!」


クラス中がその男に視線を向ける。

何を隠そう、その男こそ俺の唯一無二の親友となる「庄司勇太」である。
しかしこの時点ではまだ俺と勇太は一言もしゃべったことのない関係であった。

勇太の席は俺の三つ前の席である。
それほど離れた席の俺に、何を考えたのか勇太は話しかけてきた。


「よっ!俺は庄司勇太。勇太って呼んでくれよ。」

「おっ・・おう。よろしく。俺は渡辺和之。カズって呼んで。」

「よろしくな!カズ。・・・ところでさ・・・」

「?」

「うちのクラスに小木曽茜って子いるだろ?あの子可愛いよな!」


俺は思わず慌ててしまった。
なぜならその小木曽茜本人が勇太の後ろに立っていたのだ。


「私がどうかした?」


「ぅへええぇぇ!!!」

勇太は今まで聞いたことがない声で驚いた。

「い!!いや!!小木曽さん、おはよう!」

「ん?おはよう!」

小木曽さんはしっかりとした声で挨拶をした。多少ハスキーだった。しかし、その声がまた可愛かった。

「小木曽さん、おはよう。」

俺は半分笑いながら挨拶をした。


「おはよう!」

小木曽さんは元気よく返してくれた。その時の笑顔がまた一段と眩しかった。


「おはよう・・・」


今ひとつ元気のない挨拶が聞こえる。線の細いその声の主は玲奈だった。


「玲奈ちゃんおはよう!」

いきなり「玲奈ちゃん」と呼ばれたことに一瞬顔を上げたが、またすぐに顔が下がる。

「・・・どうしたの?」

「私、朝が思いっきり苦手なんだ・・・起きて2時間ぐらいはずっとこのテンションだよ。」

「そうなんだ」

俺は実澪と玲奈の意外な共通点を見つけた。
実澪は玲奈ほどではないだろうがが、二度寝の達人である。

一度起きてから、二度寝の体制に入るまで2秒とかからない。

「今日から授業だよね。ついていけるかな〜」

小木曽さんは不安そうな顔を浮かべる。


「おっ、小木曽さんなら大丈夫だよ!」

勇太はまだ少しどぎまぎしながら答える。


・・・なんだか楽しい一年になりそうだ。

作品名:夏の陽射し 作家名:パシフィスタ