死人
「写真を撮った時は、生きてたのか?」
「生きていたかも知れない。あいつは写真を撮った時、睨まれたと言ってた」
彼は顔色を悪くして言った。
「この写真は二日前に撮った写真なんだ。お前、お姉さんと今日も顔を合わせたと言ってたよな。おかしいと思わないか」
手足がこんな風に折れた人間が二三日で歩き回れるようになる筈がないじゃないかと、彼は続けた。
寒気がした。
「べ、別人かも知れない」
そんなことがあるのだろうかと、自分でも思う。信じがたい事柄だから有り得ないというわけではないだろう。
姉を知らない人が、姉の証明写真と、この写真の人物を比べたら、似ているが別人の可能性もあると言うだろう。