死人
いたずらじゃないのか。
だってそんな写真有りえない。
どうしよう。
中身を見ないように封筒を開けて中の写真に手を触れた。
写真の表面はなめらかで冷たくて、それは死人の肌のようだった。昔親戚の女の子の葬式で、僕がその女の子の肌に触れた時のことを思い出した。こんな感じだったかも知れない。どうだろう、気のせいかも知れない。
僕は意を決して写真を取り出した。
姉と目が合った。
写真の中で姉は、手足が曲がり、額から血を流し、しかしその顔はこちらを見ていた。
写真の中の姉は、意識的にこちらを見ているのか。それとも、偶々こちらを睨むようにして死んでいたのか。とにかく凄い形相だった。怖い。
僕はすぐに写真を封筒にしまった。
にわかには信じがたいというのは、こういう場合に使う言葉だろう。