死人
見せるよりは、見せない方が良いにきまっている。
「誰も居ないんだ。おかしい」
ついさっきまでこの部屋はこんなに埃臭くなかったし、電気は点いたし、それに、末西君が居た。
「おかしいのはあんたの方よ。どう見たって廃屋なんだから、人がいるわけないじゃん」
じゃあ、末西君はどこに行ったのだろう。
「さっきまで一緒に居たんだ。急に消えるわけがない」
空気は悪いし、暗いので、渋々部屋を出る。
わけがわからないという表情で出てきた僕に向かって姉が言った。
「そういうのって、幽霊とか、お化けとか言うんじゃない?」
ちょっと馬鹿にしたように笑っている。
「それは」
姉さんの方だろと言おうとして、やめた。明らかに言わない方がいい。危なすぎる。