死人
「耳なし芳一みたいだよね。ほら、毎晩貴族の屋敷だと思って墓場に行っちゃうあれ」
ずっとここに通っていたら、いつの日にかとり殺されていたのだろうか。
「友達をお化け扱いは酷くない?」
「だったら聞くけどさ、その友達ってのはおんなじ学校の友達なわけ?」
そういえば、学校で会ったことはなかった。
「いや、違うと思うけど」
「じゃあどうやって知り合ったのよ」
どうやって知り合ったんだろう。
覚えていない。ずっと昔から知り合いだったような気がする。
「小学校とか中学の知り合いでもないの?」
そういう記憶は、無い。
じゃあ、どうして僕は末西君のことを知っているんだろう。
「それって、やっぱり知り合いだと思い込まされてるだけで、本当は友達でも何でもない見ず知らずの人間だったんじゃないの?」
否定は出来なかった。