死人
点かない。
入り口からの僅かな光だけが、室内をうっすらと照らしていた。部屋の奥の窓はカーテンで閉められているらしい。
「おい、末西」
中まで入って行くともう足元もおぼつかない。かろうじて、机とか、棚とか、そういう物の輪郭が分かる。
側のちゃぶ台の上に何か載っていた。
何だったっけ。
腰をかがめて触れる。
そうだ、あの封筒だ。
中に入っているのは――
死人の肌みたいな質感の写真。
今後ろに居る姉の事故現場が写った写真。
そして恐らく、大事なもの。
「何かあったの?」
入り口から姉の声がして、僕は素早く封筒をポケットに仕舞い込んだ。
隠しておくべきもの。