死人
「おかしくない?あれどう見ても廃屋じゃん」
何を言ってるんだろうと思った。
今しがた自分が居たアパートに目を向ける。
ボロい。
廃屋だなんて言われてから見てみるとなおボロく見える。窓ガラスが割れている部屋もある。空き家なのだろう。
とは言え、現に友達が住んでいるわけで、廃屋というのは間違いだろうと思った。
「確かに廃屋みたいだけど、あいつは実際あそこに住んでるんだし、廃屋じゃないよ」
「それ、幻覚とかじゃないの?窓ガラス割れ放題だし、あそこの部屋とか、扉外れかけじゃん。人が住むような状態じゃないでしょ」
幻覚であって欲しいのは姉の方で、友達の方が幻覚というのは、お断りだった。
「そんなに言うなら会ってみればいいよ」