死人
彼はそう言った。
また寒気がした。
突然異次元に飛ばされてしまったような、いつもの世界に見放されてしまったような、そんな気がした。
「僕は、どうするべきだろう」
なんとかしたい。だけど、その行動が自分に対してのものなのか、姉に対してのものなのか、それすら見当がつかない。
「泊まっていくか?」
目先のことを考えるなら、それはたしかに良い案だと思った。
「その場しのぎすぎるよ」
正直言ってもう姉と顔を合わせたくなかった。怖かった。
だが、今日一日合わなかったからといって、何か変わるわけではない。明日にはやっぱり会うことになるのだから。
僕自身何も思いつかない以上、文句を言える立場には無いのだが。泊めてもらえるだけでも十分ありがたい話だ。