一ノ瀬ロック革命!!6〜
「あんま残れないから手早く済ませるよ!」
海香がパンパンと手を叩く。実樹が、カバンから連絡帳を取り出し、
「一応、書記ってことで」
と、新しいページをパラパラめくる。
放課後の誰もいない教室で、あたし達は会議を始めた。
「まず、楽器の割り振りだよね。ベースあたしやりたいなっ!」
仕切り人?の海香が手をあげる。
「あ、じゃああたしはドラムで!やってみたかったんだー!」
望が笑顔で手をあげる。
「明希は?楽器どーする?」
連絡帳にカリカリと何かを書いている実樹が顔をあげた。
「あ、あたしは…。楽器苦手だからボーカルで…いや、歌いたいな!」
あたしは心を決め、歌う人=ボーカルになることに決定した。
「じゃ、あたしはキーボードで。幼稚園からピアノやってたし」
実樹が、
「よし、これで楽器の割り振りは決定だね。次、何決める?」
実樹がシャーペンをカチッと一回ノックする。
「いや、決まりじゃない。
あたし達には足りないモノがある。」
海香が真剣な眼差しで言う。
「え、何?なんかあった?」
望が首をかしげる。
あたしも、Cider!に何が足りないのか必死に考える。
「あ。ギターだ。ギターがいない。」
あたしが導き出した答えは案外単純で、逆に何が足りないのか分からなかったことが分からない。
望も実樹もあぁなるほどと相槌を打つ。
「あたし達にはやんなくちゃいけないことがある。」
あたしはそう言う海香にただ頷くしかなかったのだった。
作品名:一ノ瀬ロック革命!!6〜 作家名:爽子