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一ノ瀬ロック革命!!6〜

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翌日。
学校に到着したあたしは、課題を提出すると自分の席に着き、一時間目の用意をしていた。
「よっ!今日アタックするからね!」
背中をバーンと叩かれて、驚きのあまりむせていると、海香がニコニコ顔で一枚の紙をあたしに渡して来た。
あたしがその紙を受け取ると、海香は職員室に数学の質問に行ってくる、とダッシュで教室を出て行った。
「この紙…何なんだろ。」
教室に常備されている裏紙に書いたらしいその言葉を読んでみる。
「Cider!ギター急募企画!
スカウトするコ。
1年C組:椎沢胡桃(しいざわくるみ)
1年C組:中沼依里子(なかぬまえりこ)」
と、書いてあった。
「ま、まさかの他クラスからメンバー募集するのっ!?」
あたしはまたまた驚きのあまり、何もされていないのに、むせてしまった。

裏紙を手にあたしは必死である事を思い出す。

椎沢胡桃ー。
我が一ノ瀬高校での美人生徒三指に入ると言われている超絶美人生徒!!

その椎沢胡桃をなんであたし達のバンドに…?
あたしは首をかしげた。
どうなっちゃうの、Cider!


放課後。
あたし達4人は、とりあえず最初に中沼依里子という子をスカウトすることに。
「中沼ちゃんはねぇ、普段は凄く静かだけど心を開いた相手にはチョー積極的なんだよー!」
しーがニコニコ笑う。
「ってかなんで、しーが中沼さんのこと知ってんの?」
腕組みした実樹が尋ねる。望も、確かにそーだよね、と頷く。
「あ、言ってなかった?私、中沼ちゃんとは小学校が同じだったから」
しーが答える。
「そーだったの?知らなかったよ!だったら誘いやすいよね」
あたしが笑顔でそう言うと、しーが
「いや、同じって言っても6年間クラス違ったから、赤の他人なんだよね…」
「「「なんじゃそりゃ!!」」」
しー以外のあたし達が叫ぶと、しーはギョッとした顔で、
「ま、まぁまぁ。とりあえずC組に着いたし、教室入ってみよ?」
とC組の教室のドアに手をかけた。

「失礼しまーす」

ガラガラとドアを開けて、教室を見渡す。放課後だけど、宿題や勉強をしている子達で教室の3分の1くらいが埋まっていた。
ドア付近で勉強している子に声をかける海香。
「あ、あの…。中沼さんっている?」
声をかけられたその子は、えっ?という顔をして、
「あたし…だけど…中沼…」
静かに人差し指で自分の顔を指した。
「中沼ちゃんなの!?」
「ちょいちょい、いきなり呼び方変わってる。一応、丁寧に。スカウトなんだから」
態度が思い切り変わった海香を実樹が突っ込む。
「え、何?スカウト?」
中沼さんは心配顔だ。
「えっとね…」
あたしは中沼さんを説得させるために、今までの経緯を話した。

「…という訳なんだけど…。どう?あたし達のバンドに入らない?」
何とか話し終えて、あたしがふぅっと深呼吸すると、中沼さんは何とも言えないような顔で答えた。
「分かった。あたしも入りたい!」
「「「え、良いの!?」」」
あたし達、スカウト4人組は驚きのあまり叫んでしまった。
途端に、周りで勉強している子達の視線があたし達に刺さる。
「あーじゃ、取り敢えず!教室から出よ?詳しい事も言いたいし」
海香が焦りながら海香以外のあたし達をドアの外へ押しやった。
作品名:一ノ瀬ロック革命!!6〜 作家名:爽子