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ウォーズ•オブ•ヘヴン 01-2

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 周りをキョロキョロと見回すが、やはりいない。
 この狭い店内で…消えただと??
 玲慈の居そうなところを考えてみる。
 コンビニよりは少し広い店内。あまり考えたくはなかったが、あいつが行くならあそこしかない。
 おもちゃのコーナー…。
 まあ、見てみるだけだしな。
 とりあえずそこに向かってまっすぐ歩く。
 そして、そっとそこを覗くと…。
 「あっ、ツバキ!トランプでもやらないか?」
 い、居たーー!!
 ここここいつ、やっぱ子供なのか…??
 「あ、あの、うん。ごめん、トランプ??」
 「そー。トランプさ。やらない?暇だし。」
 「はぁ…。う、うん。わかったから、レジ並ぼうか?」
 いつのまにか反論するのもつかれている自分がいた。
 
…レジ前にて。
 「なあ、ふつーーに買ってもつまんないからさ、ジャンケンで勝った方がはらわねぇ?」
 なんか嫌ーな提案をしてくる。
 「やだよ。」
 「えっ!うそ!」
 「だから、やだって。」
 「へぇー。あの強かった翼揮くんが勝負から逃げるのかぁー。うっわー俺一歩翼揮くんに勝っちゃったのかなー?」
 「……な、なんだよ。俺が負ける??あり得ないね!」
 ついつい、乗せられてしまう。
 よーし。と意気込み玲慈は言う。
 「んじゃあ、ジャンケンな、一回勝負だぞ。」
 「…望むところだ…!」
 負けを絶対認めたくは無かった。
 …この一撃にかける!
 お互い拳を握り締めた。
 「「最初はグー!ジャンケンポイ!!!」」
 あ、力んじまった。
 俺は力を込めたからかグーを出した。対して玲慈はパーだった。
 「あ……。」
 その瞬間玲慈は笑って喋り出す。
 「はははっ。ドンマーイ☆まー運も実力の内って言うしなー。あーヤバかったあー。金たらねぇとこだったわ。」
 玲慈は財布の中に吸い込まれるのではないかという勢いで覗き込んでいた。
 その姿をみる俺のテンションは下がりきってしまった。
 最初は、代金を払うことではなく、負けたことに対して。
 「おい…足りないって…。トランプとジュースなんだからさ。」
 「それがさー。今俺800Pしか持ってなくてねー。」
 ん?いま、800?って言ったのか?
 「ちょっと待て。そ、それで足らないのか?」
 「んあ?わりぃ、このトランプ1000Pだわ。」
 
 チーン。
 さっきは変な音のエレベーターだと思ったが、俺の不幸を表してくれているように思えた。
 最初エレベーターに乗ったときはこんなことになると思っていなかった。
 笑顔でトランプを眺める玲慈と、下を向き減ってしまった財布の中身を悲しげに見る自分がいる。
 わざわざ何で高い高級トランプという名のついた物を買ったのだろうか。
 納得がいかなかったが買ってしまった物は仕方がない。
 「なぁーツバキ、トランプ何するー??」
 いつでもこいつは呑気だった。
 「あ、うん。何でもいいよ君が決めて。」
 乗り気な訳がない。
 チーン。
 部屋のある階に到着する。
 「へへっ、実は俺、トランプのゲームで負けたことねぇんだー。」
 「あー。そう。」
 そんな訳ないだろ。
 部屋の前に着き、ドアを開ける。
 ガラッ…。
 「ん?」
 「えっ?」
 目の前には女の子がいた。
 「あー!玲慈、出てってたのかぁ!」
 「ってお前なんでいるんだよ!」
 翼揮は唖然としていた。
 「どちら様で??」
 割と落ち着いた様子で女の子はの答える。
 「おっ、私?私は姫神亜夏って言うんだ、よろしくな。特別警察やってるんだよ。」
 「…特別警察??なんでそんな人がここに?」
 「んー。まあこいつと知り合いだからだな。」
 その後小声でお見舞いだな、と言って玲慈の頭を小突く。
 「いてっ!やめろそーゆーの!ってあそーーだ!亜夏!俺らと一緒にトランプやんねぇ?」
 玲慈はぱあっと顔を輝かせて言う。
 「おっ、いいじゃん。なら、ポーカーね。」
 やることはあっさり決まった。

 「いよっしゃぁー!!!これで10連勝だぜ!!!」
 ポーカーという運重要ゲームでこんなことがあるだろうか。
 初めてみたストレートフラッシュ。過去の試合も全てスリーカード以上という、まさに完敗だった。
 玲慈ひとりが目を輝かせていたが、自分と亜夏という人はもうすでに目が死んでいた。
 「おい…。君は一体何者なんだ…。」
 「うーむ。やっぱり俺強すぎるわーー。」
 今の一言には思わず死ねと言ってしまいそうになったがギリギリでこらえた。
 たとえどんなに優しい人でも、こいつに負け続け、さらにあんなことを言われてはイラっとくると思う。
 「なぁー。ポーカー勝てないから、ババ抜きしよーぜ。こいつバカだからポーカーフェイス下手くそだろ。」
 と言って亜夏という人が玲慈を指差す。
 失礼だなという目で玲慈は見返していたが、この一言でババ抜きをすることに決定した。
 手札を配り、自分の手札の中から同じ数字を取り除いていく。
 まあ、あの渋い表情からしてジョーカーは玲慈だろう。
 「うう~ん…。よーし。んじゃ、俺がツバキの引くな。」
 勝手に玲慈が決めるが、どうせジャンケンしても勝てないのでまあ問題ないだろう。
 そして、俺の7枚の手札から一枚引き抜いた。
 「はいー。俺残り3枚ねー。」
 やっぱり、揃えてしまった。
 今回もどうせ一位なんだろうなぁ。とわかりきったことを考えてみる。
 今度は、俺が引く……。
 2周目に入ったところで、玲慈3枚、僕5枚、亜夏4枚となった。
 「意外と速く終わるもんだねー3人でやると。」
 と言って玲慈はまた一枚引いた。結局、6を揃えて残り一枚。要するに勝ちが確定した。
 …3三周目。
 僕は5枚、亜夏4枚。
 玲慈はあっさり上がってしまったので、暇そうに、ちょっとトイレでもいくわーと言ってしまった。
 僕は新たに一枚のカードを引く。
 「お、残り3枚だ。」
 Kのカードを揃えた。
 亜夏も引いたが、揃わなかったようだ。
 少し不満そうな顔で、突然亜夏が口を開く。
 「なぁ、あんたなんでこの病院に居るんだ?」
 「ああ…。僕と玲慈が戦ってお互いを斬ってしまったんです。」
 「なぜ戦った?」
 嫌な質問だった。
 僕の本当の目的が知られれば、特別警察に手が回らないはずが無い、と思ったからだ。
 「いゃぁ…。その…。」
 真剣な眼差しで亜夏は顔を覗き込む。
 亜夏は冷たく言葉を吐く。
 「玲慈を殺すため。だろ?」
 なっ……。
 特別警察に手が回るという心配は消え去ったが…。
 なぜ、ばれた?
 サイコメトラー?心のなかでも読むのか??いや、こいつはこのことを知ってここへ来た…。はずだ。真実を確かめるため、また、僕の意思を確かめるため。
 冷や汗が一気に噴き出す。
 「あんた。知ってて来たんだろ。…そうだ。僕はあいつを殺すためにここに居る。」
 そうだ…。殺すために…。
 だが…殺せるのか……。
 いや、殺すんだ。
 「そうか、んなら良かったんだ。」
 「っっ??!どういうことだ?!!」
 亜夏の顔からは笑みが漏れている。
 「それがね、全部知ってるんだよ。あんたが玲慈を殺しに来たこと。そして……殺さなければいけない理由もね。」