桜
「改めまして、僕は華桜春(はなさくらしゅん)と言います・・・。さっきはちょっと取り乱してしまい、すいませんでした・・・」
深々とお辞儀するハル、オーラが消えうせたようにずっと頭を下げている。すると椿がハルの肩に手を乗っけて、
「いえいえ、華桜さんですね?私もちょっと言い過ぎたかもしれないから私こそごめんなさいね?」
ちょっと遠慮気味に椿が言うとハルのオーラが元に戻るように頭をあげる。しかもなぜかメッチャ笑顔で。
「なら言いづらいんですが・・・今日は椿さんのお宅にお泊まりさせてもよろしいでしょうか?」
「え?」
しばらく顔を真っ赤にし黙りこんでいると、椿はハナ坊を連れて家の中へ入ってしまった。
―――はぁ。さすがに無理か・・・じゃあ今日は野宿かな?
そう思いハルはクルりと回り、去っていこうとした。そしたらガラッと扉の開く音がした。
「華桜さん!?どこ行くですか!?」
椿はなにかに急いでいたのか息を切らしている。
「今日は泊まるんじゃなかったのですか?」
「あ、いや、その・・・」
言い訳が下手なハルは言葉に詰まる。
「いや、あの後ろになにかあったようななかったような?」
「ぷっ!華桜さんは言い訳が下手ですね、クスクス」
二人が楽しそうに話してるとハナ坊が二人の間入ってきて椿の手を取り
「母ちゃん!話してないで手伝ってよ!」
そしてハナ坊は一瞬ハルを鼻で笑った。
―――母ちゃんを取ろうたってオイラがいる限り無理だぜ?ハル、とハナ坊はそう思っているに違いない!と察したハルはハナ坊に向かってにやりとした。
―――甘いな、いつでも行けるぜ?ハナ坊、と感じ取ったハナ坊は慌ただしい顔をした。でも実際の二人の思考は
ハナ坊―――そこで待ってな、ハル
ハル―――甘いな、そのくらいでへこたれる私ではないわ!
とまぁこんな感じ。全然噛み合ってなかった二人であった。