桜
春は真っ先に走っていき、悪ガキ達を追っ払うとその子のもとへ歩いて
いった。
その子はボロボロに泣き崩れていた。
「ウゥッヒックヒック・・・もんなきゃダメなのに・・・の桜を任された
のに・・・ウゥゥゥ」
「・・・なんでいじめられてたの?」
「この桜はオイラのジィちゃんがちっちゃいときから毎日育ててたんだ」
「育ててた?」
その子は下を向いて言った
「・・・・・・病気で死んだ」
春は一瞬目を丸くした。
「・・・それは・・気の毒に・・・」
「でも最後までこの桜の面倒を見ててオイラ・・・オイラ・・・うわぁぁ
ぁああん!!!」
その子は泣きながら語る。
「ジィちゃんが!・・・ジィちゃんが死ぬ前・・・オイラにこの桜をまか
せるって・・・だから知らない奴に触られるのがやだったんだ!!!」
「・・・・だから僕が桜に触った時怒ったんだね?」
「ウゥ・・・うん」
その子の声はほとんどかすれていた。
「でもね、この桜はもっといろんな人に触って欲しいって言ってるよ?」
「え?」