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和尚さんの法話 『誤認されている仏教の教え』

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ところが中陰以降は、絶対に生まれてるんですから、きち
っと四十九日とあの世で決めてくれてるんです。
四十九日が過ぎると確実に何処かへ生まれ変わってるので、
それ以降の功徳はそこへ行くわけです。
四十九日が過ぎてるから、功徳が届くのが遅いなあという
程度ですね。
それも不吉ということではないです。
そういう仏事に関する仕来たりというのか習慣というのか
多少は宗派によっては違いがあるかもしれませんね。
そしてその在所、在所によって違うとか。在所の団体が護
ってると、若しそれが間違っていてもそれを変更し難いで
すね。


「分骨」

それから、京都はほとんど分骨というのがありませんが、
和尚さんの和歌山の寺ではほとんどが分骨するそうです。
分骨する場合は本山へ分骨するのが普通と思いますが、寺
の在所では高野山へ分骨するそうです。
どの宗派も皆高野山へ分骨するそうです。
真言宗の人が高野山へ分骨するなら、本山ですから分かり
ますが、ところがそうじゃない。
どの宗派も高野山へ分骨するそうです。
浄土宗の人は、知恩院へ分骨する人もあるそうですが、他
の宗派の人はほとんどが高野山だとか。
これはおかしいですね。
分骨はしなくてもいいのですが、分骨するなら、自分の宗
派の本山へ行くべきです。
分骨するなら、四十九日間は祭壇へ置いて、四十九日が過
ぎたら、次の日でも百箇日でも場合によっては一周忌、三
回忌くらいまで、置きたいという人もありますね。
それは構わないのです。
然し、納骨という儀式がある以上は、永久にというのも、
これもちょっとおかしいですがね。

二年や三年というのも構わないと思いますね。人情ですか
ら。
どんなに早くても、四十九日だけは祭壇へ置くようにとの
ことです。
ところが和尚さんの檀家さんが、分骨をするというので、
一つは高野山へ。そして一つは寺の墓へ。
ところが初七日が済んで、納骨するというのですね。

で、和尚さんは、それはちょっと早いですなと。
四十九日は置いときなさいませと言ったんですね。
それで分骨するので二つに分けてありますね、そのお骨の
ほうも初七日に墓へ入れるんですかと聞いた。
それは四十九日まで置いときますと。
和尚さんは、意味が分からないので、何でですか?と。
一つを置いといて、もう一つを分骨と言わないで、両方置
いといたらどうですか。
どれはあきませんと。
何故ですか?
親戚の年寄りがそう言いますと。

その親戚の人は、また違う在所の人ですから、その在所は
そういう仕来たりなんですよと。
その親戚の年寄りの人が言うてくれてるのに、それを背い
て何事があったら、それみよと言われますからと。
そうですか。然しね、奥さん。
こういう仏事のことは、寺の住職に任せておいたら間違い
が無いんですよと。
そうですよね。
そう言うたけど、その奥さんは初七日に高野山へ分骨をし
たそうです。
ひとつは初七日に分骨。ひとつは四十九日まで置いておく。
おかしな仕来たりですね。
それでそうしたんですね。

ところが、その奥さんが大怪我をしたそうです。
屋根に梯子をかけて屋根をいじってたとき、屋根から落ち
て骨折したそうです。
三年たってもまだ具合が悪いそうです。
初七日に分骨したからそういう大怪我をしたのか分かりま
せんが、大変な怪我をしたんですね。


仏壇の天上の「空・雲・鳥」

それから、それと同じようなことですが。
寺の本堂を大修理をしたときのこと。
屋根をとってしまうと雨ざらしになるので天幕を張ります
が、そのときは当然、ご本尊は移動します。

でもそのときは、屋根のふき替えだけですので、移動させ
たほうがいいですかと聞いた。
多少のゴミは落ちますけど、それはしなくていいというこ
とだった。
これは我々の家の仏壇の話しと共通するのですが、二階の
ある家。
一階へ仏壇を祀ってあるというときに、仏壇の上の天井へ、
空という文字を書いて貼ってる家もある。
あれは貼ってたらそれでいいと思うて、まじないだと思う
と間違いで、この上は、空でございます。雲でございます
と。
というのは、間接に仏壇の上の二階を歩いているかも分か
らんし、物を置いてるかもわからない。
そういうことになるので、勿体ないから、どうぞお許し下
さいと。
人間の狭い世界の規則でございます、どうぞお許し下さい
と。
此の上は空と思うてお許し下さいと、こういう敬意を表す
ることを忘れない為に貼るんです。
仏間に入ると、天上に貼ってたら、あっと気が付くから、
お許し下さいと。
貼ったらそれでいいと思って、平気でいてたらいけません
のです。
謝るための、謝ることを忘れないように貼るんです。
だから空と書かなくても、白い紙を貼ってもいいのです。
気が付けばいいのだから。
だけども空でございます。雲でございますという思いを
込めるために書いて貼るんです。
これもついでに申しますが、仏壇は先祖の仏壇と思うた
ら間違いなんです。
如来様の仏壇なんです。
先祖の位牌は、お館をお借りしてるんです。
便乗させてもらってるんです。
如来様のお屋敷を借りてるんです。
仏壇ですからね。
先祖の屋敷きだったら、霊壇という言葉があるのかどう
か分かりませんが、霊壇ですね。
仏壇というのだから如来様のお館という意味なんです。
だから如来様の頭の上ということになるので、空でござ
いますからお許し下さいと、如来様に謝るのです。
先祖に謝るのと違います。


もうひとつ事のついでに、ご仏前と書いた袋がございま
すね。
御仏前というのは、お寺へ納めるのが、御仏前なんです
よ。
仏、如来様ですから。如来様にお供えする、仏様の前に
お供えするという意味なんです。

ですから葬式では精霊に供えるんでしょ。
そのつもりだったら、御霊前ですね。
ですから、お仏壇は、御先祖の仏壇と思うたら間違いで、
如来様のお館と思うたらいいのです。
如来様の頭の上ですから、雲や空と書くのです。
先祖だったら書かなくてもいいわけです。先祖ですから
ね、如来様とは大違いです。
ですから本堂でも、職人さんが屋根の上を歩きますから。
そのときは、鳥と書いて職人さんに持ってもらったそうで
す。
この上は、鳥でございますと言って、阿弥陀様にお許しを
請うたそうです。
寺のお守りの裏に、鳥と書いて、お守りは御守護の意味に
なりますから、職人さん、皆に持ってもらって、どうぞそ
ういう気持ちになって下さいと。

ところが一人だけが受け取らなかったそうです。
他の人も折角、和尚さんが言ってくれてるんだから受け取
っておきなさいと言ったけど、要らんといって断った。
するとその人だけが怪我をしたそうです。

屋根から滑車で瓦をおろしているとき瓦が落ちてきて頭に
あたって大怪我だそうです。
やはり仏様のことは、守ったほうがいいですね。


それと同じような意味になってくるのが、お寺、神社の前
の店は栄えないと聞きます。
寺。神社の前の向かい合ってる家ですね。
それには意味があるんですよ。
仏様や神さん、お地蔵さんもそうですが、向かい合ってる
ということは、こっちは拝まないといかんお方ですよ。