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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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切り戻し

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純吾は真理が笑顔で学校に行き始めたことに安堵した。それにしても、離婚が子に及ぼす影響は、ほとんどの場合は不幸を呼ぶことになるだろう。真理が有香と生活するにしても、同じことかもしれない。離婚前の幸せは真理には戻っては来ない。しかし、真理にはどうしてもそれ以上の幸せを掴ませてやりたいと、純吾は考えていた。
 順一が再婚でもすれば、真理は又不幸を背負うことになるかもしれない。純吾は純一に酷ではあったが再婚は、真理の承諾なしにはするなと言った。
 純一は黙ったまま頷いた。まだ37歳の純一にとっては、「はい」とは言えなかったのだろう。
工場の経営は順調で、経済的には不安はないが、真理の将来を考えると、お金はいくらあっても良いと純吾は考え始めた。真理がもしも大学進学を医学部に希望しても、私立に通わせるだけの準備はしてやりたいと考えた。
 君江は真理の食事の献立に買い物やレシピに歓びを見出していた。真理の「おいしい」と言う言葉にいつも「何が食べたい」と訊くのであった。真理は最近君江の事を「おばあちゃん」から「母さん」とときどき呼ぶことがあった。純吾はその呼び方が嬉しく感じた。自分はいつになっても「おじいちゃん」で変わらないだろうと思いながらである。
 真理には1日も早く成長してもらいたいと思いつつ、純吾は自分たちはこのままでいたいと思う気持ちが湧いて来た。真理を育てる事が純吾も君江も生きがいに感じていた。

作品名:切り戻し 作家名:吉葉ひろし