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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの3

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「ところで、知秋ちゃんとはどうやって出会ったの!?」
そんな優太の気持ちなどお構いなしに知春は興味津々で優太に質問をする。それに対し、優太は知春が何故そんなことを聞くのか解らず、一瞬戸惑ったが、とりあえず答えることにした。
「前に手紙で書いたかと思うんだけど、今日転校して新しい学校に移ったんだ。そしたら、そこに知秋さんがいたんだ。」
「そうなんだ。いいな〜。楽しそう!!私も知秋ちゃんに会ってみたい♪」
知春は、胸の前に手を合わせて笑った。スタッカートでも付いているのでは無いかというくらいの明るい声を出した。

会話は、そこで止まった。少しの間、沈黙が流れ、外から聞こえる車の音だけがした。

「知秋さんから、学校が一緒になったこと、聞いてない?」
黙っていても仕方がないので、優太は聞くことにした。
日中の知秋とのやりとりを思い返してみても、いまいちきちんと知春とやりとりをしている様には見えなかった。
「うん。ノートには、優太君が来ることしか書いてなかったんだ。」
「ノート?」
知春は、筆談ノートを優太の目の前に出した。ノートは、普通の青いキャンパスノートで、可愛く太陽と月のシールが貼ってあり、<知春⇔知秋 vol.63>と書かれている。何を言われているのか解らず困っている優太の顔を気にせず、知春はそれを捲る。擦れてよれよれになっているノートは、繊細で細かい文字と書き殴ったような文字が交互に段落毎に並んでいた。

10/23優太が来る。

最後の一行。中途半端な文面でノートの文章は切れていた。後半部分は、インクが滲んでうまく読めない。優太は、状況も読めず、知春の言葉を待った。
「さっき起きたら、知秋ちゃん、泣いてたみたいなんだ。でも、私は会えないし、直接聞けないし。どうしちゃったのかな?」
そう言うと知春はノートを閉じて、表紙をじっと見詰めた。
「あっ、シュークリームのこと、書いておかなくちゃ。」
知春はパジャマの胸ポケットに入っていたペンを取り出し、ノートに書きこみ始めた。

話が掴めない…。優太は、困ったようにそのノートを見ていたが、さっきから疑問に思っていたことを思いきって聞くことにした。
「知春ちゃんは、今日は知秋さんに会っていない?」
それを聞くと、知春はきょとんとした。そのきょとんとした顔は愛らしく、思わず優太は頬を緩めてしまう。緊張が少しだけ和らいだ。

しかし、それは束の間の瞬間だった。彼女が発する言葉は更に優太を混乱させるものだった。