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葉山 篤人
葉山 篤人
novelistID. 47616
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(仮タイトル)

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その後も一月さんが一人になるタイミングを逃すまいと授業中や休み時間は彼女の方をさりげなく見ていたのだが、なかなか一人になるタイミングがなくもう昼休みの時間になってしまった。
今もクラスの子達と楽しそうにお弁当を食べている。
とりあえず昼までの彼女を見ている限り特段変わった様子もなく普通に過ごしているように見える。普段の一月さんがどんな感じか知らない僕だけれど、周りの彼女に対する反応からしておそらくいつもと変わらないのだろう。
昨日の件を知っていて今日普段通りに過ごしていると考えると少し恐ろしい気もするけれど彼女は何にも気にしてないのだろうか?
「まぁそれも本人に聞けば分かるかな」
お昼御飯を食べ終わって口が寂しくなってきたせいかついつい独り言が出てきてしまう。
周りの人に聞かれてないか周囲を確認してからまた視線を一月さんに戻す。
朝から見ていて気がついたのだけれど彼女はいつも話をしている相手が違う。
ほとんどの人は仲の良いグループでいつも固まっていてだいたいその輪の中でのコミュニティが出来ているのだが、彼女の場合グループの中にプラスワンとして会話に参加している感じだ。休み時間ごとに参加しているグループが違うのでこの昼休みまでの間にクラス内の女子全員と会話していると思う。
さすがに男子グループに混ざっていくことは無いが女子グループと男子グループが一緒になって話している時は自然に会話の中に入っているので男子ともほとんどの人と会話しているんじゃないだろうか。
誰とでも仲がいいと言うと聞こえはいいが裏を返すとそれは誰とも深くかかわっていないということなんじゃないだろうか?
女子はグループ内以外の人には冷たいと思っている僕としてはそんな状態で問題なく過ごしている彼女が少し異質に思える。
表面上上手くやっているだけで実際は裏でいろいろ言われている可能性は十分にあるのだけれど、なんとなくだけれどそれは無いような気がした。
そのまま観察を続けながらいろいろ考察していたらふと彼女と目が合った。
まぁ僕が彼女をずっと見ていたのだから彼女がこっちを見れば目が合うのは当然なのだけれど。当然なのだがやはり目が合ったら咄嗟に目をそらしてしまう。目をそらしたのが不自然にならないように視線を教室の時計の方に移し、時間を確認してから
「あーもうこんな時間か」
とか言って目が合ったのは偶然だとアピールするために小芝居もしてしまう。
小芝居してみたもののこれは無意味な行動だっただろう、明らかに不自然だったし余計怪しかったかもしれない。自分でやっておいて恥ずかしくなってくる。
もう一度一月さんの方を見てみるとやはり僕の小芝居は効果がなかったようで訝しげな目でこっちを見ている。かと思ったら急に立ち上がって僕の方に向かって歩き出してきた。
作品名:(仮タイトル) 作家名:葉山 篤人