小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
一条 陽香流
一条 陽香流
novelistID. 46467
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

Thin Ice

INDEX|8ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 


動揺して気が付いたら省吾の部屋のインターフォンを鳴らしていた。

 突然アポも取らずに来たのに、何も言わず部屋に入れてくれた。

 「ソファーに座ってろ、今お茶煎れてやるから」優しく肩を叩いてキッチンに向う省吾。

 言われたままに半ば放心状態でソファーに蹲る。

 黙って蹲っている俺の手にマグカップを持たせる。

 ブランデーの香りがする紅茶。

 「飲めよ。少しは落ち着くぞ。」

 凍てついた身体も心も溶かされて行くようだ。

 知らず知らずにまた柄にも泣けてくる。

 どうして省吾の部屋に来ると俺泣いてばかりいるんだろう?

 俺はガキか。情けなくなってまた涙が出てくる。

 省吾は俺が泣き止むまで、黙って隣に座って肩を抱いていてくれた。

 「落ち着いたか?」

 「俺、ガキだよな。なんでここに来ると泣いてばっかしいるんだろ?」

 「いつも泣いた事なんか無いのに。だろ?」

 「うん」

 「泣ける場所があっても良いだろ?」

 「省吾さん、どうして俺に・・・」

 「わかんないか?」

 省吾は俺を胸に強く抱きしめて

 「お前が好きだからだ。」と耳元で囁いた。

 好き?俺が?・・・・

 「灯也、時間をやるから、意地を張らずに素直になれ。」

 省吾は囁くと部屋を出て行った。

 
作品名:Thin Ice 作家名:一条 陽香流