Thin Ice
クリスマスのイベントが終わり、久々に実家に立ち寄ると次兄の勇樹に呼び出された。
「最近修平に会ったか?」
「イヤ、俺バイト忙しくて会ってないや。修平がどうかした?」
「俺が紹介した家庭教師のバイト覚えてるか?」
「ああ、榊家の息子だろ?」
「ああ、ソイツが怪我して修平が連れて来た、今はアイツの部屋で面倒みてる」
「はあ?修平が?まさか、俺ちょっと見て来る。」
修平が他人の面倒を見るなんて信じられない。
俺の知ってる修平はそんな奴じゃない。
俺は、修平の部屋のドアを開けた
声を掛けようとして戸惑った。
そこには俺の知らない修平がいた。
愛おしそうに頭を撫ぜながら熱い眼で寝ている蒼を見つめている。
その空間に自分が入れなくて居た堪れなくなって部屋を出た。
初めてだった。修平に疎外された気分だった。