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宇宙を救え!高校生!!

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「ニュートリノ砲のエネルギーが、有機生命体の意志の力だという事は既にご存じですね」
 僕はゆっくりと頷いた。

「拡散して発射されるニュートリノ砲を、ある一点に収束させるためには、トリガーを強く握りながら、収束させたいポイントに強く意識を集中してください。そしてそのまま心の中で、発射と叫べば、対象物を跡形も無く消し去る事が可能です」

「えっ! たったそれだけ?」
「ハイ。それだけです」

 ちょっと拍子抜けしてしまったが、極意は攻撃したい対象物に強く意識を集中する事。のみのようだ。
(なんだ、意外と簡単そうだな)
 そう考えた僕の気持ちが方舟に伝わったのか。

「様々な障害の、戦闘中での意識の集中は大変困難です。マスターのご武運をお祈りします」
 ハルのときにも感じたが、方舟の人工知能もどこか人間臭さがあった。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 気が付くと、コントロールセンターの椅子に座っていた。右手はトリガーを握ったままだ。
どうやら意識を失っていたらしい。

「マスター。方舟とのシンクロにはいかがでしたか?」
 声の聞こえた方向を目視して、いま質問したのはハルだった事を確認してから。
「ああ、ハル。大体理解できたよ・・・・いま僕は何分ぐらい意識を失っていたかな?」
「5、6秒です」
「たった5、6秒だって・・・・・」
 少なくとも5分以上は過ぎた感覚があったのだが。

「ハル。フォボス落下までの残り時間は?」
「残り約19分32秒です」
 残り時間を告げるハルの言葉に、初めての事ばかりで浮き足立っていた、皆の気持ちが引き締まった。

「よし! やろう!」
 その浩二の力強い声を聴くと、全員顔を見合わせて頷きあう。

「それではニュートリノ砲へ、エネルギー充填を開始します。皆さん、中央にある球体に意識を集中してください」

 意識の集中を始めると、球体の色に変化が現れた。最初は白だったのが、青に、そして緑へと。
「エネルギー充填率30パーセント、40・・・・・50パーセント。発射可能エネルギー充填率まで残り20パーセントです」

 全員で意識を集中して、順調にエネルギーを充填していた、その矢先であった。

 ギューン! ギューン! ギューン!

 再び、緊急警報が船内に鳴り響いたのだ。
「緊急回避! 緊急回避! 闇のエネルギー砲による攻撃が接近中です。本船は今から緊急回避行動に入り・・・・・・・」

 ドゴーンンンンンン!

 ハルが言い終わるよりも早く、耳をつんざく激しい爆音とともに方舟はとても激しく揺れて、そのまま横転するかと思うほど大きく傾いた。
「ギャー!」
 今回は莉子だけでなく全員が悲鳴を上げることになった。それほどまでに、揺れと音が激しかったのだ。

 ハルに聞くまでもなく、方舟とシンクロしている僕には分かっていた。船の左舷後方に、闇のエネルギー砲の直撃を受けたのだ。

 被害は甚大で、船尾にはポッカリと大きなな穴が開いてしまった。

「自動修復プログラム展開。第27、28、29圧力隔壁閉鎖。メインエンジンのエネルギーの20パーセントを方舟修復のため使用」
 だが、何事にも動じず沈着冷静に対処するハルを見ていると、僕たちの焦る気持ちも直ぐに落ち着くのだった。

「ハル。大大丈夫なの?・・・・・」
「船尾を少々やられましたが問題ありません。すぐに修復できます」
 莉子の質問に、パネルを素早く操作しながらハルが答えた。
「船体姿勢制御再開」
 そのハルの声に合わせて、斜めに傾いた方舟も元に戻っていった。

「第二波の攻撃が想定外に早く到達しました。恐らく第三波の攻撃もすぐに到達することでしょう。引き続きニュートリノ砲へのエネルギー充填を再開してください」
 何事も無かったかのような表情で僕に告げるハルを見て。
「分かった。みんな再開しよう」
 僕たちは安心して作業を再開したのだった。

作品名:宇宙を救え!高校生!! 作家名:葦藻浮