Daybreak 〜その先にあるもの〜
高校生活3回目の暑い夏がやってきた。私達3年生にとっては最後のコンクール。みんな気合いの入り方が違った。絶対に大会に出場しよう!と意気込んでいた。練習量も増え、各パートや個人個人の負担が増えた。その分どれだけ努力したかによってそれぞれの完成度や技術も異なっていった。私は努力した。何度も何度も同じところを練習して満足するまでやめなかった。美也子はというと。居残って練習をするわけでもなく、練習中も時々サボりつつ練習を行っていた。後輩たちはかなり頑張って付き合ってくれた、ついてきてくれた。元々クラリネットパートには真面目で努力家な子が集まっていたし。だから、合奏で美也子が足を引っ張ることが増えつつあった。さすがの愛菜も、「美也子って普段どういう風に練習してるの?ちゃんとやってる?」と顔色を変えるほどであった。
私達の吹奏楽部には合宿がある。学校内に合宿専用の宿舎がある。体育会系はよく使っているけど、文化系の部活でここまで何度も合宿を繰り返す部活は少ないと思う。一日練習に費やして、食事当番を決め、みんなで順番にお風呂に入り同じ部屋で寝る。恒例行事だし、先輩たちがたくさんの差し入れを持ってきてくれるし、大変ではあるけれど、楽しみの一つだった。ただ、今回は私達が3年生ということもあり、夕食後に顧問と部長、コンマスとセクションリーダーで集まって会議を行ったりもした。真剣に話し合って。それが終われば真剣に楽しんで。基本、私達の吹奏楽部は常に元気で笑いのあふれる雰囲気だったな。
そして、合宿後、私の世界は一転した。明るくてキラキラした世界から、暗く深い闇の中へと。
作品名:Daybreak 〜その先にあるもの〜 作家名:リサ