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Daybreak 〜その先にあるもの〜

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五月に入る前、部活の勧誘オリエンテーションがあった。たくさんの部活がある中で、一つの部活が私の中に残った。元々中学の頃から憧れていた、吹奏楽部。
オリエンテーションが終わり、ぞろぞろと各自教室へ戻って行く。
「ねー、何か入りたい部活あった?」とあやちゃんが聞いてきた。
「中学の続きであたしはバスケ部に入ろうかな~。幸はどうする?一緒にまたバスケ部入る?」千夏が私にそう声をかけた。でも、私の中で既に入る部活は決めていた。グループとか関係なく、ただただ私は音楽の世界に飛び込みたかった。
「私、吹奏楽部見学したい!」と伝えたら、あやちゃん、美也子、瑞希も行くって言ったから、その日の放課後四人で吹奏楽部の見学に行くことにした。

~「サチってさ、何でも深く考え過ぎなんだよ。世界はものすごーく広いんだから、いくら考えても答えが出ない事はあると俺は思うよ。サチの世界は暗くて深くて狭い。空見てたら考えるのどうでもよくなるって。ま、そんなサチの世界、俺は好きだけどね。」ハルはいつも楽観的だった。穏やかで時にやんちゃで自由。悩みがない事が悩みだとかボヤいてた。他人の前では。でも、私は知ってる。私だけが知っている。ハルの世界も私と同じで暗くて深くて狭いことを。~

授業も終わり、私達は少し緊張しながら吹奏楽部の入り口を開けた。先輩達は歓迎してくれて、いろんな楽器を見せてくれた。あやちゃんと瑞希は中学で吹奏楽部だったらしく、自分の吹いていた楽器を懐かしそうに頬を緩めながら吹いていた。私はというと。
「幸ちゃん、初心者?金管と木管があるんだけど、どうする?どっちも試してみる?」部長さんに促され、まずは金管のマウスピースを試してみた。汚い音色だけど音が鳴ったことに私は感動した。「幸ちゃんの口の形だと金管でも木管でも、どっちも向いてると思うよ。」そう言われた時、ある一つの楽器が私の目をひいた。「先輩、あれ何ですか?あの楽器吹いてみたいんですけど…」と尋ねたら、「あれは木管でクラリネットって言うんだよ。吹いてみる?」と聞かれ、はい!と私は元気よく返事をしてクラリネットに挑戦した。すんなりと音が鳴った。指が分からないから先輩が指を使って音階を鳴らしてくれて、私はひたすら音を出し続けた。この時、もう私の心は決まっていた。“吹奏楽部に入部して、このクラリネットを吹く!”一時間ほど四人でいろんな楽器を試して、お礼を言って音楽室をあとにした。「先輩、私吹奏楽部入ります。」それだけはちゃんと伝えておいた。
帰り道、「楽器鳴らすのってすごく楽しいんだねー。私吹奏楽部入るよ。」と三人に伝えたら、あやちゃんも美也子も瑞希も決めていたらしく、四人で吹奏楽部に入部することにした。千夏と実花はバスケを続けるようだった。