Daybreak 〜その先にあるもの〜
日は変わり、入部希望者が集まる日がやってきた。ワクワクしながら四人で音楽室の扉を開ける。「こんにちはー!」元気よく挨拶をして周りを見渡した。
既に数名希望者が集まっていて、中学が同じだった子、まだ喋ったことはないけど同じクラスの子、全く見たことない普通科の子様々だった。
すると、同じクラスの子、野山さんが声をかけてくれた。「みんなブラス希望だったの?じゃあ一緒に行けば良かったなー!経験者?」と聞くから、
「私はフルート吹いてたからフルートしたい。」と瑞希。
「私ユーフォやってたけどサックスしたいの!」とあやちゃん。
「全くの初心者!でもピアノしてたから譜読みは出来まーす!クラリネットしたいっ」と私がいうと、「私もクラリネットしたいー!」と美也子。
「初心者なんだー。クラリネット今いないみたいだし、ちょうどいいじゃん!あたし、愛菜。中学ではトロンボーンしてた。」
「ちなみに愛菜はかなりトロンボーン上手いよ!出身中学が吹奏楽では有名なとこだから。」と、野山さんが言った。そして、「あたしも経験者で中学ではチューバやってた!愛菜とは大会とか演奏会でよくあってたから面識あるんだー。あ、あたしのことはサナエって呼んでくれていいから。」
「分かったー!サナエ、よろしくね。愛菜ちゃんもよろしくー。」
今でもたまに考える。吹奏楽部に入っていなかったらきっと、今の私はなかった。将来進む道も違っただろうし、何よりこんな暗い世界じゃなくて明るい希望に満ちた今を送っているかもしれない。だって、今でも闘い続けてる病はこのときから始まったから。
吹奏楽部はそれなりに楽しかったな。今思い返しても青春って感じ。でも、吹奏楽部自体が青春だったわけで部員との思い出はあまり思い出したくない。初心者で音楽の世界に飛び込んで、顧問にも「なんでできないの?」とよく泣かされていた。初心者で初めての吹奏楽コンクールで選んだ曲は木星だった。クラリネット殺し。連譜も高音、メロディもクラリネットがかなり重要視される曲で、コンクール直前はほぼ毎日クラリネット組は居残りだったな。ただ、私は真面目にコツコツと努力したかいもあり、上達スピードは早かった。一方美也子は、上手いこと練習をサボり、練習しているように見せかけていたせいか、私に比べれば上達のスピードは遅かった。でも、美也子と私は一心同体って感じで、何をするにも一緒、どこへ行くにも一緒なほど仲が良かった。本当に気があっていた。何をしてても楽しくて、常に大爆笑で毎日が楽しかった。けどその美也子の態度がある日突然急変した。
作品名:Daybreak 〜その先にあるもの〜 作家名:リサ