Daybreak 〜その先にあるもの〜
そして溜め込んだものを夜中に一人赤い血として外へ吐き出す。冬だし、制服も長袖で見えることはないし、と歯止めがきかなくなった。洗面器に水を溜めてそこに腕を浸らせてみたり、ポトポトと滴り落ちて行く血をずーっと眺めていたり。気付くと左腕が傷で埋め尽くされた。傷だらけで血が出なくなる。それが許せなくて更に深くなっていく。傷跡でいっぱいの真っ赤な腕を眺めていると心が和らいだ。
~「サチ、病みすぎでしょ。というか、本当に加減ってものを知らないよね。やりだすととことんって感じ。」ハルが私の振り返りを横から覗き込んで苦笑していた。「うるさいなー、ハルに言われたくないわっ。ハルは何してたんだっけ?」と知っているけど私は尋ねた。もちろん、嫌がらせ。「俺は、薬中。あと、注射器で自分で血を抜いてたな。」と苦笑したまま答えた。「サチってたまに意地悪いよねー。」「そうだよ、私本当は腹黒いの。」したり顔で答えてやった。ハルは満足そうに笑っていた。「でもさ、今こうやって笑って言えるのはすごいよね。この先には幸せが待ってるのかなー。ハル、一緒に幸せになろうね!ってハルどうしたの?」ハルは私が今まで見たことのないような表情を浮かべ「サチ、ごめん。本当にごめんな、俺はー…」と涙を流した。~
作品名:Daybreak 〜その先にあるもの〜 作家名:リサ