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瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
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憑くもん。

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Main:突発的かつ不条理な幽霊出現と内部から発生した自己管理問題




二階、自分の部屋に戻る。

「まったく、何なんだ今日は。」

朝から頭が冴えない。
受験生の今、平日学校のはずだった昼間の時間は勉強時間だ。
誰もが経験する道だと思うが、学校に行かずに(受験)勉強するというのは少々矛盾しているような気がしないでもない。
そしてその時間を利用して過去問等を解いていたものの、どうもモヤモヤするせいではかどらない。
昼御飯で気分を一新して午後からやろうとしたのに、片付けの時に皿を割っては気分の転換にも一新にもなりはしない。

まったく今日はどうしたんだか。

『きっと運が悪いんだよ。』


不意に誰かの声がした。
驚いて振り返るが誰もいない、気のせいか。

「さて、さっさとこれを片付けて勉強しないとな。」

手の中にある破片、俺がさっき割ってしまった皿の破片だ。
長い間使った物にはお酒をかけて、供養してから捨てる。
俺の家だけなのかは分からないが結構やってるところもあるだろう。

「今までご苦労様。来世でも良い出会いを。」

感傷も何もない一言。
これまで何回も言ってきた、ただ自分の物ではなくゴミになってしまった物への通過儀礼の一言。

の、つもりだったのだが。

「呼ばれて飛び出て!」

呼んでもないしどこから来たとしか言いようがないが、いつの間にか後ろに女の子が現れた。
不可解非科学不条理、このような現象に言い方はいくらでもあるが、これはいくらなんでもめちゃくちゃだ。
とりあえず、最優先事項を口に出す。

「…君は誰だ?」

見覚えが無いかとよく観察してみるが見覚えなどあるはずがない。
肩の辺りまで伸ばされたブラウンの髪、外はねがついたその上に、小さい白い帽子を被っている。
身長は小さい、俺が170とちょっとあるが頭二個は差がある。
顔は小顔で整っているが、髪と身長のせいでどこか仔犬のような雰囲気がある。
こんな子、知り合いにはいない、第一、歳がかなり違いそうだ。
俺が高校最終学年だがこの子は、あって中学2年か3年だろう。

「…あれ?今私を呼びませんでした?」
「俺は皿を捨てただけだが。」
「来世でも、とか言ってません?良い出会いを、とか。」

言った、だけど何でこの女の子がそれにつられて出てくるんだ。
近所の子にこんな子はいない、それに加えて俺の部屋は二階だ。
うっかり迷い込むはずがない。

「言ったが、それ以前に君は誰だ。近所の子でもないだろう。どこから来たんだ。」
「色々疑問はあるでしょうがまずは落ち着いて下さい、依り主さん。」

このような状況で落ち着いていられる人間も少ないだろうとは胸の中だけの一人言。
そして今最後に何やらおかしな言葉を言われたが、よりぬし?だったか。
色々分からないことだらけだが、一旦深呼吸してから言葉を紡ぐ。

「君は、誰だ?」
「はい、まずは質問に答えると私は世間一般で言う、『背後霊』ってやつですね。」

『背』も『後』も更には一番重要な『霊』という言葉すらもキーワードにない様子の少女の言葉。
幽霊と言うのが事実か、それより前に背後霊という言葉を分かって使っているのか、と疑いたくなってしまう。

「背後霊も何も、全然『背後』にいないし『霊』でもないじゃないか。」
「いやいや、だからそれは一応世間一般の話なんです。今詳しい説明しますよ。」
作品名:憑くもん。 作家名:瀬間野信平