ビニコン ラブ。
裕也の採用から早1か月。奈々子と同じシフトの裕也は奈々子のことを奈々さん、奈々子は裕也君と呼ぶほど仲良くなった。
大学生2年の裕也はほぼ毎日シフトを入れている。やっぱり、お小遣い稼ぎのようだ。毎日って事だから、当然彼女なんていないのだろうと奈々子はそう勝手に思っていた。
反対に裕也もそう思ってるに違いないとも思うと、なんかしゃくにさわるもだが。
「奈々さんっ、ここのレイアウトどうかな?」
「え-、、もっとこれを全面に出した方がよくない?」
「そうかな。。」
裕也のちょっと不満げな顔に奈々子はケラケラと笑った。
「まぁ、良いんじゃないの」
「いや、こういうことこだわるタイプだから、俺」
裕也はそう言うと、奈々子のいう商品を全面に移動する。
自然と奈々子も手伝った。
コンビニは毎日掃除しているようでも、毎日あれだけの人数が出入りすると、ホコリが直ぐにたまる。
「ホコリすごいね」
奈々子が少しむせっぽく言った。
「うん、そだね。あっちょっとじっとして」
顔を上げた裕也は奈々子の頭に手を伸ばした。奈々子はドキッとして肩をすくめる。
自分の頭に視線を合わせる裕也の顔を奈々子は下から覗く。
やっぱり綺麗な顔。
「ホコリ、髪に付いてた。ほら」
そう言って急にと目が合ってしまったので奈々子の顔がボッと熱くなった。
「えー、ホントだ。ありがと」
奈々子はちょっと高鳴る胸の音が聞こえないようわざと大きな声で答える。そして、スッと立ち上がると、ジュース補充してくると言って、冷蔵庫に早足で逃げて来た。
奈々子のその姿を裕也は切なそうに目で追ってぼそりとつぶやいた。
「まいったな」