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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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After Tragedy5~キュオネの祈り(中編)~

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キュオネの祈り【中編】2


唖然とする。

そこは、

日の光が当たらない
湿気っぽい
カビ臭い

そんな場所だった…。

「ここでキュオネは暮らしていたんですか。」
僕が聞くと、隣にいるデメテルは観念したように、目を閉じ、静かに頷いた。

理解が出来ない。

そこは、上の階と同じ建物だとは、思えないような雰囲気だった。

何と言えばいいのか分からない僕を他所に、キュオネは元気に鉄格子の中に入って行った。あたかも、懐かしい我が家に帰ってきたかのように。僕は、キュオネの後に続くことが出来ず、立ち尽くした。

僕は、理解をする。
彼女が外の景色に大袈裟に喜んでいた理由を…。

大袈裟なんかでは無く、
本当に彼女にとっては珍しかったのだ。

風に揺れる草花も
澄んだ空気も
青い空も
太陽の光も

キュオネは僕の顔を見ると、困ったように首を傾げた。
「ユクス、どうしたの?」
彼女は気遣ってここに連れてきてくれたのだと思う。けれども、僕はどうしても気が晴れなかった。キュオネは牢屋から出て、心配そうに近づいてきた。申し訳ない気持ちになる。