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ようこそボクの部屋へ…ダレ?

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窓の付近で 空中に停止したまま、飛んでいる。
こんな飛び方ができるなんて、ヘリコプターのようだ。
大きな目で、辺りを見ているのか。おっと。急に向かってきたから驚いた。
なんて俊敏な飛び方をするんだ。おや? 今戻ったぞ。凄いなぁ、後退もできるのか。
それにしても薄く透き通るような翅は、光に煌めくメタリックのようだ。かっこいいな。
ボクは、そいつの名前を知らないけれど、『トンボ』という事だけはわかる。

それにしても、トンボのヤツ、何だか焦っているみたいだな。
たぶん何かの拍子に この部屋へ飛び込んでしまったのだろう。

『あれぇ、なんか中が気になって つい窓から入っちゃったよぉ。やばいなぁー。すごく広くて迷路みたいだ。出口は何処だ? ぼく、迷子になってしまったのかなぁ』

とでも言っているかのように 急旋回したり、行きつ戻りつ、ぐるぐると部屋じゅうを飛び回っている。

『やったぁ、出口だ』

やっと、外への道を見つけたのか、加速して、一直線に飛び出していった。
ボクは、それにしても飛ぶの速いなぁ、あれは飛行のプロだなと感心して見ていた。

窓から、出ていったトンボの姿を見送っていた。
空には、先ほどの蝶だろうか……ひらひらと飛んでいる。
あそこでトンボと蝶が、言葉を交わすんだ。とお伽話のように見ていた。

『ふぅ、出てくるのに大変だった』とトンボが呟くと、『あら、トンボさんどうしたの?』と蝶は聞く。
そして、ボクの部屋のことを語るんだ。
『ほら、ここからちょっと飛んだところに大きな建物があるだろ。ぼく、つい窓から中に入っちゃったんだ』と言う。
それを聞いて蝶は『わたくしは入らないわ』と澄まして答えるんだ。
『入ったら大変だよ』『わかったわ。ありがとう、トンボさん』と別れていくんだ。

そんな想像が、本当にされたかのようにトンボと蝶は、離れていった。